重め彼氏とその彼女。【キヨ】 (ページ2)

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彼女とは、なんの変哲もない、ささやかな日常の中で出会った。

確か、俺のグッズ制作のときの打ち合わせだったか。

きっかけは、実はよく覚えていない。

俺は、都内のとあるオフィスで、エレベーターを待っていた。

エレベーターの表示が、俺のいる階に近づいていく。

「あっ」

扉が開いた瞬間、俺は彼女と目があったんだ。

俺は驚いて声が出てしまった。

なぜかって。彼女が、それはそれはどデカいあくびをしていたからだ。

「あ、…乗っていいすか」

混乱して別に聞かなくていいことを聞く俺。

『すみません』

当の彼女は、エレベーターの隅で恥ずかしそうに顔を赤らめている。

あまりサイズの合っていなそうなスーツも相まって、今思うと職場体験の高校生にしか見えなかったな。

そして俺たちは、そのエレベーターの中で一言も言葉を交わすことなく、それぞれの目的地へと出向いた。

打ち合わせ中も、心のどこかに大あくびをしていた彼女の顔がちらついていた。