空に焦がれたあの日の俺へ。 (ページ19)

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「山口ナイッサー」

山口のサーブは綺麗に田中さんに拾われる。

「どうせまた日向(チビ)に上げて失敗だろ。
田中さんだけマークしとけば＿＿＿…」

「そうかもな(笑)…でも、しっかり見とかねぇと……見失うぜ？」

日向は一直線に月島達ブロックのほうに走ってきた。

「山口！！お前も来い！！2枚で止める！！」

「！！」

約180㎝の”壁”が2枚…

跳ぶと思った瞬間、奴は逆方向に走り出した。

「(「せーの」で跳んで長身の選手より高さで劣るなら…
”1㎝”を”1㎜”を「1秒」早く頂(てっぺん)に……ってか)」

さすがの月島でも間に合わない。

でも、コースの打ち分けは出来てない。

……拾える。

「っ！？」

正面で捉えたのに…弾かれた？

ボールが床に落ちる。

『＿＿オシ！！！』

「……何だよ、あの”バケモノ”」

「望月、良く反応できたな」

タイムアウト中、澤村さんが声をかけてきた。

「そんな凄いことでも無いですよ。ただ、ちょっと舐めてた。次はもっと……
って、何笑ってるんですか？」

「いや、楽しそうだなと思って。望月、今までバレーしてるっていうよりは
”作業をしてる”って感じだったからさ、ちょっと安心した」

「何ですかそれ(笑)…まぁ、ほんのちょっとだけ燃えてきました」