空に焦がれたあの日の俺へ。 (ページ17)

今日:12 hit、昨日:19 hit、合計:15,562 hit

・ページ17

「…いいか。打ち抜けないなら躱すぞ。
お前のありったけの運動能力と反射神経で俺のトスを打て」

「？わかった！！！」と元気良く返事をする日向に田中さんは丁寧な突っ込みをしていた。

「「とりあえず」…かぁ。面白れぇや」

「望月、性格変わってる」

「うるせぇ、次お前がサーブだぞ。しっかりやれよ」

「ハイハイ」

「ツッキー、ナイッサー」

影山が右側を指さしていた。

なるほどね、右に上げる気か。まぁ、ブロックはいかなくってもいいか。

どうせ1発目は打てないし。

案の定、影山のトスは速く、日向が追いつけなかった。

「おい、何してる！もっと速ー…」

「でたー”王様のトス”！」

「月島はそうやってすぐ煽んな。ガキかよ」

何回やってもトスは合わず、挙句の果て日向はネットに引っかかっていた。

「お前、反応速いんだからもっとこう…バッ！っと来いよ、グワッ！っと！」

「「バッ！」なのか「グワッ！」なのかだっちだ！！！」

「…いや、そこ重要じゃねぇだろ(笑)」

そのままじゃ、中学の時と一緒だな。

”日向”っていう素材(スパイカー)をいかに上手く使いこなすか。

日向には技術も経験もない。中学の頃のようにはいかない。

「…”周りを見る優れた目”を持っているお前に、
仲間の事が見えないはずがない！！」

菅原さんの声が逞しく、切なく聞こえたのは気のせいだろうか。

彼だって優秀なセッターなのに。

「＿＿お前の1番のスピード、1番のジャンプで…”とべ”。
ボールは俺が持って行く(・・・・・)！」