Secret Princess【名前変換】 Part.2 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:155,348 hit

§53§ ページ3

＊

＊

＊

友だちの家の前にいたはずなのに

私の前に広がっている景色は薄暗い倉庫のような空間で

・

お泊りセットの鞄が横にあって、手に取ろうとしたら

ガシャンと金属音が擦れる音がして、手首に走る痛み。

・

あ「何、こ……れ……」

・

犯人でもないのに私の手首にはめられた手錠はひんやり冷たくて

どこかに鍵が無いかと探すけど、見つからなくて。

・

私は足の力で何とか移動して、後ろで縛られたままの

手で鞄を掴んだ。

・

そして、ファスナーをゆっくりと開けて

ミニポケットの中に入れていたスマホを取り出した。

・

画面が見えないせいで今、どの画面かも分からないけど

とりあえず、通話ボタンが表示されているであろうところをタップする。

・

でも、そんな時に遠くから聞こえてきた足音。

私は急いでソファーの隙間にスマホを押し込めた。

・

「あら、もう起きてたんだ。」

「いやぁー、まさかこんなにもうまくいくとはね。」

・

深く帽子をかぶっている二人組の口元が怪しく上がる。

そして、その一人が私の鞄を漁り始めた。

・

「あれ、ケータイ。」

「ねぇのか?まさかこの年で持ってないなんてことねぇよな?」

・

あ「っ!」

「ケータイ、どこやったのかな?」

・

持ち上げられる顎。

本当に何されるか分からないから体が震える。

・

「フフッ……怖がってるのも可愛いよ?

でも、ケータイの場所……教えてくれないとその顔

傷つける羽目になるよ。」

・

頬に冷たい刃物が当たる。

二人の不気味な笑い声がこの空間に響いていて

・

あ「ケータイ……家に忘れたんだと思います。」

・

震える声で苦し紛れに言うと、ナイフが首元に下がった。

・

「下手な真似したら、これが貫くからね。」

「おいおい、あんまり脅すなって。コイツはあくまでも人質。

傷モノにしたら連れてきた意味なくなるんだからよ。」

＊

＊

＊