表情筋が働かない【呪術廻戦】

第二十九話 ページ30

．


貴『ん……』









ゆっくりと瞼を開く









見覚えのない天井……






それに、薬品の匂い






何処かの病室か？









少しだるい体を起こして辺りを見渡すと






やっぱりここはどこかの医務室だった









まさか生きているとは思っていなかった






運が良かったんだろうか









まだ覚醒しきっていない頭でぼーっとそんな事を考えていると、





ガラガラとドアが開く音がした









「えっ……」









誰かの驚く声になんだ？と思い、ドアの方に目を向けると





悟が目を見開いて固まっていた









貴『悟、ただいま』






五「っ！」









私の言葉に悟はピクっと肩を震わせるが、また動かなくなった。





俯いているからどんな顔をしているのか分からない









貴『悟？一体どうし……た……』









抱きしめられた









えっ……






こういう時はどういう反応をすればいいんだ…






抱きしめられたことなんて無いから反応に困る……









貴『え、えーっと、悟？』






五「よ……た」






貴『？』






五「よかった、無事で……

おかえり」









悟はそう言うと抱きしめる力を強くした









貴『あぁ。ただいま』









私は今、自然に笑えていた気がする

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