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隣で派手に落ち込む銀さんを見て少し心痛くなった私は苦笑いをしてそっと声をかけた。


「まだ余りありますから落ち込まないでください。こっちは、少し歪なやつですけど、味は大丈夫だと思うので」


店頭に並べられなかったものは、家に帰って食べようと思っていたやつを差し出す。すると分かりやすく目を輝かせた銀さんは神楽ちゃんに食べられる前に飛びついた。みなさんにも分けてくださいね、と釘をさして席に座る。


「お嬢さん優しいね。おじさんこんなに良い子久しぶりに見たよ」
「早々に口説いてんじゃねぇよオッサン」


銀さんに紹介されたサングラスの長谷川さんは既に顔が赤くなっていて、カタンとグラスを差し出してくれたのはお登勢さん。あとはキャサリンさんとたまさん。ここのスナックはとても居心地がよかった。


「あんた彼氏いないのかい」
「はぁ、…そうですね」
「まぁ恋愛なんて無理にするもんじゃないけどねえ」


世の中の男は見る目がないね。とお登勢さんは言ってくれた。いや、私なんてきっと世の中の殿方に釣り合う女でもない。もらっていただけるなんて絶対ご迷惑ばかりかけるだろうし。


「こんな頑固娘もらったら手が焼けていけねーよ」
「どういう意味ですか!」
「顔に似合わず気がつえーのなんの」


そう思っていたら銀さんから直球に言われてさすがにグサリと刺さった。私だって自覚あるんだからわざわざ言わなくてもいいじゃないか。ひどい。少しの抵抗としてペシペシとその広い背中を叩いてやった。いてっと零したけれど再びグラスを傾けた銀さんは全然反省してない。

お登勢さんは何かを見透かして表情は変えずに意味深に言葉を煙草の煙と一緒に吐いた。


「まぁでも、今のあんたはそゆいう顔、してるけどねえ」


少し酔いが回った私にはどういう意味か理解できなかった。自覚の問題だね。と付け加えた言葉を繋ぎ合わせても答えは出なくて、意識が飛ばない程度の状態で帰った。団子ありがとうね、とお登勢さんや新八くんたちも最後お礼を言ってくれて、私もまた来ます、と頭を下げる。そゆいう顔。どういう顔だろう。久しぶりにお酒を飲んですぐにでも寝たいほどの睡魔に襲われたのでその日は家に帰ってからの記憶はない。
ただ最後に浮かんだ顔はやっぱり沖田くんの顔だった。

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尾っぽ(プロフ) - ままさん» 更新頑張ります!! (8月22日 21時) (レス) @page31 id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
まま - つづきを!! (2023年4月13日 22時) (レス) @page27 id: 21c8ee624a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - かっちさん» コメントありがとうございます!原作の沖田くんが好きなので笑自由奔放な沖田くんに振り回される夢主ちゃんが可愛いですよね笑更新頑張りますね^^ (2023年3月5日 8時) (レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
かっち(プロフ) - この作品大好きです!!特に夢主ちゃんが可愛くて……!沖田君もキャラ崩壊一切無くて、カッコいいですね!更新待ってます。 (2023年3月4日 14時) (レス) id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:尾っぽ | 作成日時:2023年2月17日 20時

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