story.25 ページ35
A松side
『俺様の、大事なモンに、何してくれた？』
感情的にならないように、ゆっくりと。しっかり笑顔を見せて。
オールバックのおっさんは、あはは、と少し高めの乾いた笑い声を出して、にやりと笑った。
「流石、幻の蝶、の呼ばれる程はありますね。でも、私の敵ではない」
幻の蝶。
俺がいつからか呼ばれるようになった二つ名。まるで蝶のように回転しながら鎌鼬の刃を使うことからつけられたらしい(トッティ調べ)。
紅蓮の舞台、蒼龍の捕食者、翠孤の壁、二藍の闇、煌雷の使者、菖蒲の夢。
こんな風に全員一応は付いているもの。だけど、俺らのファミリーの奴だってことはわからないはず……。こいつがなんでこれを知ってる。
「僕の能力は、」
『物を意図して見えなくする』
俺は、おっさんの言葉を遮り、にやりと笑う。
でも、さっきので血が減って顔色が悪いせいで、折角のかっこいいところが台無しじゃねぇかクソ。
『だろ？』
「よくお分かりで。
補足すると、ここには僕以外にいくらか、僕の部下がいます。僕の能力でこの部屋の中の人なら好きなように出したら消えたり。
君たちに勝機はない。さっきのまぐれが続いたとしても、君の……一番前の貴方の失った血の量からして、あと何回守れるだろうね」
おっさんも俺と同じように笑みを見せる。
破れて、怒られるのが確定したスーツの端を千切り、二の腕にきつく結んで、出血を止める。気持ちだけの応急処置。片方では縛りにくいから、片方は歯で固定して。フゥーッ、俺かっくいー！
『……十四松』
「あいあいさー！」
お、と声が聞こえた気がした。
十四松に巣に引き込んで貰ったからだ。きっとびっくりしたやつの声が偶々聞こえたんだろう。
十四松が何かしたのは分かったようで、オールバックのおっさんはさっきの笑顔を引きつらせ、すっと右腕をあげる動作をした。
何も起こらない。
だって半径5メートルの俺らとおっさん以外は十四松の巣の中。ざっまあwww
「な、何を」
あからさまに動揺を見せるおっさん。こういうのを見ると、やっぱり悪いやつではないんだろうな、と思う。
『十四松には、俺が合図した時、巣を張るように言ってある。おっさんの言う通りに誰がなるかばーーーーか』
ばーーーーかのば、のところを強調して言ってやる。
おっさんはそれを聞いてピキピキと頭に怒りマークを表すけど、ふっと体の力を抜いて、笑いかけてきた。
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葡萄ゆづゆ(プロフ) - まま松さん» コメントありがとうございます！まま松さんの小説は大好きなのでそう言われて嬉しいです！これからも生暖かい目で見てくれたら幸いです！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
まま松(プロフ) - 男主は初めて拝見させていただきました！とてもリズミカルで面白かったです！六つ子の会話とかが本物っぽくて笑ってしまいました（笑）更新頑張ってください！ (2017年9月1日 17時) (レス) id: adb325526a (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゆづゆ(プロフ) - butterflyさん» ありがとう！めっちゃ嬉しいよ(●´ω｀●)butterflyも作品作ったら見せてね！！ (2017年8月18日 11時) (レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
butterfly - やっぱり文章綺麗ですごいねゆづちゃん！参考にさせていただいております( ´∀｀) (2017年8月17日 23時) (レス) id: 97c9d8dadd (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゆづゆ(プロフ) - ありがとうございます！！カラ松語が苦手なもんで…笑 褒めていただけて光栄で嬉しさで頭がいっぱいです！！頑張ります！！ (2017年8月5日 14時) (レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄ゆづゆ | 作成日時：2017年5月6日 17時
