story.21 ページ30
チョロ松side
「高霞の神槍落とし(ヘイジィランスフォール)」
僕は抑揚のない声でそう告げて、親指を下に突き出す。
僕の能力は重力を操ること。
高霞の神槍落としは、その範囲を広げて、重力を一箇所に集める。そうすることで、敵が一箇所に集まるって寸法。
そして____。
「nicepass.チョロ松」
おそ松兄さんの、出番だ。
兄さんはにいっ、と口角を上げると、左手を高々と掲げ、僕が集めた敵の方に指を指す。中指で。これは後で説教だ。
「滅・炎焼神殺腿(バーシングゴッドスレイヤー)
……焼き払え」
この時の兄さんは目がキラキラしてて、真っ直ぐ前だけを見てて。
本当に、かっこ良かった。
クズでニートで独裁政権の長男だけど、僕らが懲りずについていくのはここに有るんだと痛感する瞬間。
僕は、この時が大好きだ。
わああああああ、と悲鳴っぽいのをあげながら敵は炎の中で、重力に抗えず、焼かれていく。
人間の肉が焼かれる独特な匂いが鼻腔を刺激する。
僕は顔を|顰(しか)めながらも、その場から目を離さずに、しっかりと最後を見届ける。
まだ、人で在りたいと願うから。
「カラ松ー。そっち終わったー?火ぃ消してくんない?」
「ノンノン兄貴〜?なんでも人任せはいけないぜぇー?」
「でもやってくれるんでしょ?」
「やらない」
「ええー?! お前ほんと俺にだけは厳しいよね」
「そうか?」
いつの間にか茶番劇に発展した僕らの周りには、氷漬けにされたものや、一酸化炭素で気を失ったもの、今もなお焼かれているものなど、様々な人間が転がっている。
「hey! お疲れ!」
突如現れた声の主は、レインちゃんであった。彼女は先ほどまでどこかへ消えていたのだが、戦闘が終わった直後にまた現れたということは、きっと隠れるなりしていたんだろう。
『どこにいたの?』
開口一番で失礼なのかもしれないけど、アメリカ仕様の女の子っぽいから、僕は気にしないことにした。
するとレインちゃんは案の定特に何も思うことなく、にぱっと笑いながらこう言った。
「透明になってたの!」
『ふーんそっか……ってそんなことも出来るの?!』
ボケツッコミ乙、と言ってきた一松にボケてはないよね。と返した。
そして、レインちゃんはなんでもない様子で語りかけてくる。
「うん出来るよ! 一回見た能力は全部コピーできる!」
そう言って、レインちゃんは右手を肩の位置まで上げて、ピキピキと氷を作る。
成る程この子はチートどころではないチートらしい。
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葡萄ゆづゆ(プロフ) - まま松さん» コメントありがとうございます!まま松さんの小説は大好きなのでそう言われて嬉しいです!これからも生暖かい目で見てくれたら幸いです! (2017年9月4日 16時) (レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
まま松(プロフ) - 男主は初めて拝見させていただきました!とてもリズミカルで面白かったです!六つ子の会話とかが本物っぽくて笑ってしまいました(笑)更新頑張ってください! (2017年9月1日 17時) (レス) id: adb325526a (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゆづゆ(プロフ) - butterflyさん» ありがとう!めっちゃ嬉しいよ(●´ω`●)butterflyも作品作ったら見せてね!! (2017年8月18日 11時) (レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
butterfly - やっぱり文章綺麗ですごいねゆづちゃん!参考にさせていただいております( ´∀`) (2017年8月17日 23時) (レス) id: 97c9d8dadd (このIDを非表示/違反報告)
葡萄ゆづゆ(プロフ) - ありがとうございます!!カラ松語が苦手なもんで…笑 褒めていただけて光栄で嬉しさで頭がいっぱいです!!頑張ります!! (2017年8月5日 14時) (レス) id: 9a1ec58e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葡萄ゆづゆ | 作成日時:2017年5月6日 17時