88話 ゼフェル、生まれ変わり。 ページ44
応接間の上品な椅子に腰かける。
ラノア「貴殿がここに来るなど“あれ以来”だな?」
ゼフェル「ええ、その節は…………」
ラノア「安心しろ、貴殿に対しては恨みも何もない。」
紅茶が運ばれてきた、
ラノア殿がコクりと飲む。
ラノア「私が恨むのは母とフランだ。」
ゼフェル「ッ!!」
すごい殺気が漏れる。
ガシャン……パリン、
ティーポットがマリーのお盆から滑り落ち割れた。
マリー「ラ、ラノア様…………っ!!」
ラノア「おっと、すまない。今のは私が悪い。トウマ、片付けろ。」
フッと、
ラノア殿のもう一人の血族が姿を表す。
トウマ「ラノア様。俺を呼んだら用心棒の意味がない。」
ラノア「黙ってサッサとやらんか…………すまない、つい殺気が漏れた。」
ゼフェル「いえ…………」
そう言ってまた、
ラノア殿はティーカップを口に運ぶ。
ラノア「大事な用件があるのは察したが…………どんな厄介事だ?」
ゼフェル「キュラル殿の………………」
私がその名前を口に出すと、
言い終わらないうちにラノア殿は立ち上がった。
ラノア「…………ラル、だと?」
ゼフェル「…………もしかして、ラノア殿は?」
今の反応を見るに、
彼女はおそらく知らないのだろう。
キュラル殿の生まれ変わりがいることを。
ラノア「アイツがどうしたと言うのだ!?アイツはもういない!!貴様も見ただろう!?」
ゼフェル「キュラル殿の生まれ変わりの人間がいます。記憶は無いものの、吸血鬼のように力はあるようです。」
それを告げられたラノア殿は、
背後に控える血族の男……トウマを睨んだ。
ラノア「何故、黙っていた?」
トウマ「必要がないと思いまして。」
ラノア「アイツは私の恩人であり友だ。必要がないわけなかろう!!」
トウマ「ええ、でもあの人間はキュラル様ではない……“別人”でしたよ。」
ゼフェル「僕が直接お会いした時、誰だと言われました。」
ラノア殿は、
静かに目を伏せ席へ戻った。
ラノア「もういい、ゼフェル……続きがあるのだろう?」
ゼフェル「はい、そのキュラル殿の生まれ変わりの人間が黒い闇にのまれる未来を予知しました。」
ラノア「予知?お前はもう、予知は出来ないと言っていただろう…………」
ゼフェル「ハンターにやられる以前の様に、クッキリと未来が見えましたよ。」
ハンターにやられてから、
僕の未来予知の能力はただの占いになってしまったと思っていたのに。
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作者名:つんつん | 作成日時:2017年10月1日 10時