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79話 太宰治、少女の不意討ち。 ページ35

話が噛み合わない目の前の少女。
何かが可笑しい。





その時、
私の手から何かが垂れた。


太宰「……っ………これは……?」

いつの間にか手の甲に引っ掻いたような細い傷ができている。

床に垂れたそれは私の血だった。



アリザ「あら?気がついてなかったの?兄様ならきっとその血に気づいてくれるわ!」

太宰「いつの間に…………?」

アリザ「レインが気絶させられてすぐ、小さくて細い針を飛ばしたの。」

太宰「この傷と君の兄がどう関係してくるのだい?」




そう聞くと、
少女は驚いたように私を見た。

アリザ「本気で言っているの!?さっきのも全て?……………あなた、前世の記憶がないのね?」

太宰「君も前世の記憶があるのかい?」

アリザ「私に前世なんてないわよ、レインや兄様の言う前世と今世は私にとっては“繋がっている同じもの”よ?」


私は眉間にシワを寄せて言った。

太宰「君は、いったいどれ程生きて…………」

アリザ「さあ?もう忘れてしまったわ。」

太宰「赤い目と長寿は異能力かい?」

アリザ「異能力?あぁ、兄様のような不思議な力の事ね。私、そんな大層なもの持ってないわ。」


私の注意力が薄れた、
少女が話している事に理解が追い付いていない。





ゾクリ、
私の背筋に悪寒が走った。


アリザ「私はね、“人間ではない”のよ?」

少女の目がまたも赤く染まる。



太宰「…っ………!?」


私はやっと気がついた。

口が塞いであった布がとれてから今まで少女が逃げる機会を狙っていたことを。


私の斜め横へ勢いよく飛び、
部屋を出させてしまった。

相手より情報がないだけで優位に立てない。



レインちゃんがこの家にはいないことが分かったようで少女は私の家を出て走り去る。


“人間じゃない”か……………

どうやら私は得たいの知れない化け物を敵にまわしたようだ。

────────────────────────────アリザside


不意討ちが決まり、
私は捕らわれていた建物を脱出した。


アリザ「あぁっ!!なんて気持ちいのかしら!!」


前世でとはいえ兄様とレインを殺した相手だ。

私はそんな奴の優位に立ち、
逃げることに成功したのだ。



そんな高揚感をこらえて、
私は知っている匂いを探そうとした時──


???「お嬢様、無事で……………!」

アリザ「えっ、ミオウ?」

ミオウ「はい、ミオウです。見つかって良かった。」


にっこり笑ったミオウがやって来た。


──80話

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 吸血鬼   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:つんつん | 作成日時:2017年10月1日 10時

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