２８ ページ29
「いたいけなじぇーけーと小１のガキにこんなことするとかあんたホントに人間かよ？」
「随分と口が達者なお嬢ちゃんだな、」
痛みに耐えながらもいつものように悪態をつくAの眉間には深い皺が寄っている。
「A…」
恐らく蹴られたところが相当痛むのだろう。小さな声で彼女の名前を呼ぶと、Aは苦しげな表情でこちらを見た。
「心配すんなって！私は大丈夫だから、ね、」
まるで自分に言い聞かせるかのようにそう口にしたA。彼女の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
あぁ、そうか。お前がそう言うならそうなんだろう。
俺はすぐにさっき閃いたことを行動に移し始めた。
「あー！ポートタワーが見える！六甲のイカリマークも！すごいすごい！」
あくまで子どものように、本当の小学１年生のように演技をする。今更こんなことをしても藤岡の気が逸れるとは思っていないがそんなこと想定内だ。
「そうやって気を逸らして俺の頭を橋桁に引っ掛けようってか？そんな幼稚な手に乗るか！」
真後ろに迫った橋を避けるべく俺たちから視線を外してしゃがみこんだ藤岡。俺はこのタイミングを待っていたのだ。
すぐさま腰からボール射出ベルトを外して自分の足元にあるハッチのハンドルにそれを通し、間髪入れずにボールを射出する。その場にいては自分が危ないため咄嗟にAと共に左へと避けた。
こちらの異変に気付いたのか振り返った藤岡。しかしもう遅い。ボールはどんどん大きく膨らんでいき、橋桁に引っかかった。
その衝撃で飛行船は大きく揺れ、ボールが橋に引っかかっているせいで船頭が持ち上がっていく。その瞬間船体がドンッと橋に打ち付けられ、藤岡の呻き声が聞こえてきた。
「っう、」
「貸してみ、」
ある程度傾いたところでボールをベルトから外そうとしたのかコナンが腕を伸ばしたものの、ボールの圧のせいかうまく手が届かないらしい。それに気付いた私は一気に手を滑り込ませてベルトのボタンを押す。
「しっかり掴まってろよ…！」
するとさっきよりも傾いていく飛行船。私はコナンのことを決して落とさぬように後ろから抱え、ゴムひものようなものを掴んでいた手に再度力を込める。
藤岡は何かに掴まることが出来なかったのか叫び声をあげて海へと落ちていった。
ざまーみろ！！私と名探偵をこんな目にあわせたバチが当たったんだ！！
私はドバドバ出まくるアドレナリンで痛みも忘れ、無駄にハイテンションになりつつあった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柯(プロフ) - 青さん» アンハッピーセット、笑 突然の告白ありがとうございます！！ (2021年7月30日 13時) (
レス) id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
青 - アンハッピーセット一つください！お兄ちゃんに投げつける！！（ヤメロ）好きです（告白）最高かよ。 (2021年7月30日 12時) (レス) id: 157c6e138f (このIDを非表示/違反報告)
柯(プロフ) - 凛堂さん» あばばばありがとうございます！！！そう言ってもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年7月26日 16時) (レス) id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
凛堂 - めっちゃ面白いですね！！ (2021年7月26日 14時) (レス) id: 1c8e857f37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柯 | 作成日時：2021年7月8日 15時
