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受け継ぐ ページ37

『先輩。捕獲完了しました』


玄関から、少し離れて通信をとる
勿論、しっかり縄で絞めてますんで


〈そうなの? じゃあ、あと三分向かうわ〉


そう言って通信が切れた


え、三分? まじで
ウルトラマンではないか


「A様! お手柄ですぞ!」


足元で、嬉しそうに笑うこんのすけ


『こんのすけ。これは、あの神様たちのお陰だ』



俺は、手柄を横取りしたに過ぎない
と、心の中で付け足した


刀剣のみなさんは、家の中で好きにしてもらっている
そのため、この場には俺とこんのすけとスミレしかいない


玄関先で、地べたに座っているスミレに声をかける


『スミレ』

「な、何よ」

『お前の、過ちは取り消されない』


「知ってる」と小さく吐いて、顔を反らす
目線を合わせるように、俺は前にしゃがんだ


『審神者の先輩として、何か助言が欲しい』

「は?」

『俺は、審神者になったばかり…………。見習いにも行っていないんだ』

「だから、何よ」

『なんか、大切なことがあるなら教えてほしいんだ』


「信頼よ……………。刀剣との信頼……………」

『わかった。覚えておく』



その時、車のエンジン音聞こえて
門から、政府と書かれた布を顔に張った人たちが数名こちらに近寄ってきた


「ごくろうさまです!」

『お願いします』


スミレの両再度に、人がついて連行されていく
俺は、ただ呆然と見ているしかない


「Aちゃん…………」

『あ、コノハ先輩』


隣で立っていたコノハ先輩は、泣きそうな顔でポンッと俺の肩に手を置く


『結構大変だったんですよ』

「そうみたいね」


頭の感覚は、もうない
嗅覚も明らかにおかしい


もうなれたんだな


「Aちゃん。貴方に、この本丸を任せます!」


俺の心を一気に絶望に追い込む
元気一杯な先輩


『え…………いや、俺新しい本丸』

「はい! これが、資料ね!」


俺の腕の中に、何十枚もの紙の束が積み上げられる
紙束に気をとられている隙に、コノハ先輩は俺の頭を一撫ですると姿を消した

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作者名:さプる | 作成日時:2020年4月30日 15時

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