車 ページ24
入り口
突然過ぎる別れ
僅か1日の見習いだった
足を止めて、後ろを振り向く
「Aちゃん………」
目に涙をためて、今にも泣きそうな師匠
一日もいなかったやつなのに、こんなにも泣いてくれるなんて……!
俺は、精一杯笑って見せた
『師匠! 俺頑張ります!』
「っ………! 生きてね!」
『勿論です』
「最後に、一つだけ良いかしら?」
『何ですか?』
「このお面あげるわ」
師匠は、手に持っていたお面を渡してくれる
それは、手作りの狐のお面だった
「これは、お風呂食事以外に着けなさいね」
『わかりました』
お面を大事に、両手で持つ
木で出来た木製のお面
師匠の手作りだろうか………
「本当は、最後の日に渡すつもりだったんだけど………」
『ありがとうございます』
そんな、感動の別れもつかの間
「Aさん。行きましょう」
『……………はい』
名残惜しそうに、師匠に手を降って
鳥居をくぐった
水色の空
ふと、後ろに振り返ると、大きな野原だけだった
「どうしたんですか?」
足元で、こんのすけが不思議そうに俺を見上げる
『いえ、なんでもないです』
俺は、寂しさを振り切るようにして、こんのすけと一緒に車に乗り込んだ
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作者名:さプる | 作成日時:2020年4月30日 15時