夏の夜には涼しくなるような話を ページ35
「で…それからどうなったの…?」
不安そうにAが話の続きを促すと山崎が神妙に語る。
「呪われるんだ。そいつを見たってのはみんな呪われて向こうの世界に引きずり込まれるって話だよ。」
夕飯時を過ぎた静かな食堂にAの情けない小声が零れる。
「だから夜更かしをしたり夜に外に出ちゃダメだよAちゃん」
山崎はにこりと笑って「Aちゃんはいい子だから心配ないね」と明るく振る舞うもAの面持ちは緊張したままだ。
夜遅くまで眠らずに遊んでいると白い着物の女に話しかけられる。それを視界に捉えて姿を確認すると気が狂って呪われて黄泉の国で恐ろしい目にあう。この話は幼い沖田がわがままを言って言うことを聞かない時にみんなで適当に作った作り話だ。えらく怯えて素直に床に就く幼い沖田は今よりずっと可愛げがあったというものだ。
きっと沖田は覚えていないけれど、と山崎は1人懐かしむ。
さて、そろそろAにネタばらしをしてあげようと事情を知る近藤と土方に目配せする。
ブルブルと震えながら冷や汗を流す2人。
「ヤベーよトシ俺らも奴に会わないうちにさっさと寝るぞ」
「そ、そうだな。俺は別に怖くねェけどアレだからなアレ」
「アンタらこの話知ってんでしょうが!なにしっかり怯えてんですか!!」
こんな大人を見ていると沖田は逞しく育ったなぁと心のどこかで思う山崎だった。
夏の夜には涼しくなるような話を2→←今日の献立すら迷うやつに人生の選択が出来るわけない
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あまたのしずく(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます!暖かいコメントに安心出来ました。小説の下書き感覚ではありますが、以降が確定するまでは下書き感覚で時々更新していこうかなと思えました。拙文ではありますが、良かったらこれからも読んで下さると嬉しいです! (1月22日 10時) (レス) @page38 id: 815a4cedef (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 作者様がちょっとでも無理だなとかそういうこと?思ったなら移行を考えてもいいと思います。個人的にはこの小説がすきなので作者様に続けて欲しいとこもあります。ですが最終的には作者様次第だと思います!重く考えず、楽な方を選んでもいいかもしれないです。 (1月3日 15時) (レス) @page38 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまたのしずく | 作成日時:2021年9月14日 4時