可愛い子にはナンパせよ ページ32
旅行も終わり数日。Aは万事屋で暇を持て余していた。ジャンプを読みながら机に脚をあげる銀時。ソファーにはAが食べ終わったアイスの棒を咥えてうつ伏せで寝転んでいる。せかせかと掃除をする新八。旅行の荷物をひっくり返す神楽。定春は押し入れの下段に篭っている。
今日もこの真夏の万事屋には蒸し暑い空気が立ち込めている。
「旅行さ…」
Aが呟く。無言の空間に発せられただるそうな声に各々顔を向ける。
「あやめと月詠さんも一緒に行きたかったなぁ」
ため息と共に吐かれた言葉に銀時が続ける。
「なんでだ?お前そんなに月詠と仲良かったか?」
窓から陽の光を背中に目一杯受けている銀時の気だるそうな声はいつにも増してやる気がない。
するとAが突然起き上がる。
「これから仲良くなるんですぅ!裸の付き合いこそ最強、お〇ぱいこそ正義!!」
拳を固く握りしめるAは「あんたは体目的でしょうが!!」と新八にツッコまれる。
すると突然神楽が荷物の中から紙袋を取り出して歓喜の声をあげる。
「あったアル!よっしゃA、一緒行くアルよ!」
はて、と全員が疑問の声をあげると神楽は玄関で靴を履きながら振り返る。
「そよちゃんにお土産渡しに行くアル!」
神楽に連れて来られたのはお城。Aは酷く緊張したが出てきた少女はフレンドリーで優しくそしてとても可愛らしい人だった。
「もうAさんったら、突然美しい姫君だなんて言って手を取るから驚いちゃった」
そよが笑うと神楽が「そうアルよ!」とすこしムスッとする。
「Aこいつ最初私にも結婚したい言ってきたアルよ」
「あらら、Aさん浮気はダメですよふふ」
またくすくすと笑うそよに目を奪われた。上品な振る舞いの中に見え隠れする無邪気な笑顔が魅力的だった。
お菓子を食べて女子会に花を咲かせて時刻はすっかり夕暮れ時。
帰り道には2人の傘がオレンジの街に影を落としていた。
「じゃあ私はここで」
屯所の前まで歩いて立ち止まる。
「あれ、もう帰るアル?」
神楽が数歩先で振り返る。
「そう、もう夜ご飯の時間だからねっ!神楽ちゃんも気をつけて帰るんだよ」
「なぁA……」
少し俯いた神楽がAの名前を呼ぶ。
続きを待っていると神楽が近づいてきて自分の傘をたたみAの傘に入ってくる。
「私とまだ結婚したいって思ってるアルか?」
不安の混じった強気な瞳が数度瞬きをする。
人の恋路を邪魔するやつは俺の剣の錆となれ→←恋バナしなけりゃ始まらない
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あまたのしずく(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます!暖かいコメントに安心出来ました。小説の下書き感覚ではありますが、以降が確定するまでは下書き感覚で時々更新していこうかなと思えました。拙文ではありますが、良かったらこれからも読んで下さると嬉しいです! (1月22日 10時) (レス) @page38 id: 815a4cedef (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 作者様がちょっとでも無理だなとかそういうこと?思ったなら移行を考えてもいいと思います。個人的にはこの小説がすきなので作者様に続けて欲しいとこもあります。ですが最終的には作者様次第だと思います!重く考えず、楽な方を選んでもいいかもしれないです。 (1月3日 15時) (レス) @page38 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまたのしずく | 作成日時:2021年9月14日 4時