団子より花 ページ18
「そうだね!…そうしたいけど…」
俯いて寂しそうな顔をするAに神楽が理由を尋ねる。
「私万事屋には今日までしか居られないんだ。最初から3日って約束だったし」
神楽には困った笑顔で「仕方ないよねー」と言うAが酷く寂しい気持ちを背負っているように見えた。
「また次の仕事探さないとなー……、神楽ちゃん?」
Aの左腕を掴んで真っ直ぐな眼差しで見つめる神楽。
「嫌アル。もっと一緒に居たいアル」
でも、と口にしかけたところで神楽とAに肩を組む銀時。
「銀さんも一緒に居たいなー、みたいな」
「え、でも、」
Aの言葉を遮って新八が声をかける。
「給料もろくにでないけどAさんが良いのなら居て欲しいです」
「ありがとう、みんな」そう言ったAの声はすこし震えていたが嬉しそうであった。
ふと銀時が右を向く。見据える先には沖田がいた。Aの肩を抱き寄せて悪い笑顔を浮かべた。
わいわいガヤガヤと騒がしい花見会場。みんな酒が入って陽気な雰囲気だった。
神楽はあんなに飯を食べたのに、持参した酢昆布や駄菓子を食べていた。
キャラメルを1粒貰ったAは、神楽と駄菓子のパッケージに付いている迷路を彷徨い今しがたゴールにたどり着いた所だった。
「なァAさん、アンタもどうです?」
紙コップに注がれた酒を差し出す沖田にAは呆れた顔をする。
「ちょっと沖田くん、君お酒飲んじゃうのー?ダメでしょー。あと私お酒って苦いから飲めないの」
「ごめんね」とAが言う中、ごくごくと自分のコップを空にした沖田。すぐに新しい酒の缶を開けるとそのコップに注いで差し出した。
「これなら甘いですぜ」
「えー、ほんと?」
Aは疑いながら渋々口にする。するとしゅわしゅわ弾ける炭酸のなかで甘い果実の香りが溢れた。
「ん!ぶどう味だ!おいしー!」
「だろィ?」
にこりと沖田が浮かべる大人しい笑顔にAも嬉しくなって微笑み返した。
すぐに美味しいと言う言葉に反応した神楽がAの肩を揺する。
「それ旨いアルか!私も飲みたいアル」
「えー…ちょっとだけだよ?」
Aがコップを差し出そうとすると沖田が缶を差し出す。
「ここに沢山あらァ」
缶を受け取って一口飲み込んだ神楽は顔を顰める。
「う、苦いアル…」
「神楽ちゃんはもうちょっとしてからだね」
2人の会話を聞きながら沖田はAからカップを受け取り、1口分残った甘い酒を飲み干して日本酒を注いだ。
花より神楽ちゃん→←花見って木の下で酒飲んで騒いでることを言う
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あまたのしずく(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます!暖かいコメントに安心出来ました。小説の下書き感覚ではありますが、以降が確定するまでは下書き感覚で時々更新していこうかなと思えました。拙文ではありますが、良かったらこれからも読んで下さると嬉しいです! (1月22日 10時) (レス) @page38 id: 815a4cedef (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 作者様がちょっとでも無理だなとかそういうこと?思ったなら移行を考えてもいいと思います。個人的にはこの小説がすきなので作者様に続けて欲しいとこもあります。ですが最終的には作者様次第だと思います!重く考えず、楽な方を選んでもいいかもしれないです。 (1月3日 15時) (レス) @page38 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまたのしずく | 作成日時:2021年9月14日 4時