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紡がれる縁 ページ4

書類を鬼邪高校へ郵送してから数週間後。やっと鬼邪への入学が正式に決まり、今日はいよいよ待ちに待った鬼邪への入学。
少しだけ嬉々としながら、私は今朝届けられたばかりの真新しい制服へと身を包む。
制服のサイズは、思いの外ピッタシだ。其れに先程まで着用していた制服と同じ仕様で出来てて凄く着やすい。流石は鬼邪高だ。そんな事を思いながら、素早く身支度を済ませた私は、アンティークテーブルの上に置かれたメモ帳と何時も愛用している水色のペンだけを持ち部屋を出た。

朝早く神社(自宅)を出て、やって来た隣町の鬼邪高。
落書きされた壁と所々割れた窓ガラス。
荒れに荒れまくった校舎を見て、私は何だか懐かしい気持ちになった。
そう言えば、前通ってた高校も此処と同じくらい校舎が荒れてたよね。
私は、所々から感じる男子生徒達の好奇な視線を受け流し、荒れた校舎内を一人ぼんやりしながら歩く。
そして、辿り付いた場所が一階の三年の教室。
なんか、行く当ても無く、フラフラ歩いてたら三年の教室に着いちゃた。
此処は、私の来る場所じゃ無い。元来た場所へ戻ろう。踵を返して元来た場所へ戻ろうとした、その時。
「栗花落?」
「?」
聞き慣れない声音で苗字を呼ばれ、声が聞こえて来た方へ振り返れば、其処には綴込表紙を持った男教師が一人、廊下で佇んでいた。
「お前も、今日が入学初日だったんだな」
男教師は、私が着ている制服を上から下までジロジロ一通り見詰めた後、厭らしい笑みを一つ浮かべた。
「嫌ぁ。嬉しい限りだね。我が校に、こんな綺麗な女子生徒が入学して来てくれるなんて……。何か困った事があれば、何でも俺に聴いてくれ」
「何でも力になるぞ」男教師の脂まみれの手が私の肩へ触れようとしたその直後。三年の教室の窓ガラスが大きな音を立てて割れる。
其れに驚いた男教師の脂まみれの手が、私は触れる事なく離れた事へ、私は少しだけホッとした。
そんな、私の気持ちなど露知らず、男教師は三年の教室へ足を踏み入れる。
「おい、お前等。うちは学費さえ貰えればフリースタイルだから」
其れだけを告げて教室を出た男教師は、三年の廊下で未だ佇む私へ向けて厭らしい笑みを浮かべると、今度こそ、その汚い脂まみれの手で私の肩へ触れた。
「蓮も早く自分の教室に行きなさい。其れと頑張って学業に励むように」
急な名前呼びに、私は何だか気持ち悪さを覚えた。そんな、私の心情など男教師は気付く筈も無く、私の肩を数回叩くと気持ち悪い笑顔で職員室へと戻って行った。

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設定タグ:HiGH&LOW , 鬼邪高 , 西川泰志   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:おこげ | 作成日時:2021年4月29日 1時

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