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扱いにくいタイプの人間だ。
「これは光を利用した、ただの子供だましだ」
光に関係する敵か……。厄介だな。波動を感知するはずのハンター装備も使い物にならない。
『……波動はなしですね』
「『伏影』だ。止まっている間は、波動を起こさない」
波動を感じさせないタイプ。これまた、厄介だ。さて、どうしようか。そう考えていたとき。青年が何かを感じ取ったようで。
「しー。こっちだ」
私の手を離すことなく、ちょうど視覚になりそうな場所を見つけて隠れた。
『伏影は光を呑み、あなたはのＥｖｏｌは光……。まるで、あなたのために作られた罠のようですね』
「……俺みたいな平凡なハンター相手に、大掛かりすぎる」
平凡ね……。果たして、平凡なハンター相手に敵は、ここまでするだろうか。否……。見方を変えてみれば、彼は餌というよりも格好の餌だ。彼の何かに、敵は惹かれて罠を仕掛けた。
「？ 何を考えているんだ？」
『いえ。いっそのこと逃げられないのであれば、あなたを餌に奴らを誘き寄せて、一掃できないかと考えていただけです』
「あんた……」
『嗚呼……誤解しないでくださいね。あなたというよりもあなたが持つ光でですけど』
我ながら意地悪な言い方だと思う。しかし、閉じ込められている以上。一刻の猶予もない。こちらが相手を倒すか、私たちが相手に倒されるか。そのどちらしかない。
「……」
彼は、一度考えたのち。自身のＥｖｏｌをほんの少し手のひらに集める。その一瞬だけでも十分だった様で、静かだった空間が妙に騒ぎ立てている。
『波動が集まってきて強くなってますね。どうやら、うまくいったみたいですね』
「数が多い。同時に倒さないと、光と共に復活するぞ」
数の多いワンダラーたちを一回でに排除するには。私のＥｖｏｌが必要不可欠。私は、手袋越しではあるが彼の手へそっと触れる。
『言い出した手前です。手伝います』
「悪いな」
握っていた手を握り返して、私の手を自身の胸元へ持っていく。そして、そっと彼は目を閉じた。じんわりと眩い光が彼の周りを包み込む。どこからともなく風が吹き荒れて、多数いたワンダラーを一瞬で吹き飛ばした。
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2024年2月10日 16時
