君に溺れる深海魚 (ページ6)

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今まで黙ってたはずの同期から促されて、みんなの視線が集う中、私は前へと一歩歩き始めた。

『……はじめまして』

筆談で話す、私を咎めることはなく会長は軽く私の挨拶にうなずく。

「手をここに。情報を確認する」

会長に促されて、パネルの上に手を乗せる。手をのせてから数秒もしないうちに、私の情報が写り出された。

「根源系……珍しいEvolだ。伸びしろがあるだけではなく、他の能力を身につける可能性もある。どうりで、ミナミが君を行動部に選んだわけだ」

Evolの種類が分かれど、Evolレベルが計測不能と出た。やはりか……私は、そっと視線を下ろす。

『会長。私は、14年前にワンダラーに襲われていらい、Evolレベルが不安定な状態なんです』
「……あの危機は、多くの人の人生を変えた。レベルの測れないEvolver超能力者はいる。Evolレベルだけが実力の判断基準ではない。能力さえあれば、君も歓迎されるだろう。おめでとう。君は『深空ハンター』だ」

さすが、年の功というよりも教会ハンターの会長を名乗るだけあり、実力の判断をよく理解していた。そして、会長は持っていた深空ハンターのマークが入った手帳を目の前に差し出す。

『ありがとうございます』

箱に入った手帳を受け取り私は一度頭を下げて、自身がいた場所へと踵を返した。