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ミナミは、シンプルな言葉を残して。ミナミは笑って周囲を見渡して、再び隠し扉の中へ戻っていった。新人たちが、ミナミの言葉を聞いて、俄然としてやる気を出しているさなか。蓮は、ミナミの話しを右から左へと聞き流していた。ただ、一つ。蓮が考えていたことは、ミナミの話しでもなんでもなく、お腹空いた、眠たい……。ただそれだけが、脳内を占めていた。だから、ミナミが消えたあと。あちらこちらで鳴り響く、沢山の通知音にも気が付かなかった。
「『データ分析！ リーダー：ゼル』データー分析！ 昨日の占いが当たったよ！ あなたも早く確認して！」
『ほら、起きて！』半分眠りかけていたところをモモコに起こされて。私は、眠たいながら渋々と自分の探索器を開く。『霊空行動部』内の所属部隊名と……それから。『機動先派遣。リーダー：ミナミ』表示されていた。
「ミナミさん直属部隊？ いいなぁ。……ちょくちょく、見に行ってもいい？」
『私を見にくるの？ それとも、ミナミリーダーを見にくるの？』
「目は二つあるから、一つはあなたで、もう一つは、ミナミさん……じゃダメ？」
小動物みたく可愛らしいく首を傾げる。私は、うっと言葉に詰まる。
『……本当、君には敵わないよ』
「ふふっ。さ、そろそろ帰ろ。まずは、一緒にご飯食べに行かない？」
『ご飯』その単語を聞いて、バカ素直に私のお腹の音が鳴り響いた。そんな、私にモモコはくすくすと可愛いらしく笑った。
「で？ 私のお誘いのお返事は？」
『……ご一緒させていただきます』
私は、未だに鳴り響く音を抑えて。まあ、お腹も空いてることだし、モモコの誘いにのるのも悪くはない。
＊
ハンター協会を出て、すぐの場所には市の中心部である晴空広場がある。360度、視覚のないドローンがワンダラーの活動を監視するべく、街の上空を常に旋回している。広場で沢山の子連れや友人同士で仲良く遊んだり話したりしている学生たちをみていると。14年前、ここがワンダラーに襲われたとは到底思えないほどの平和さを感じさせた。いま、この平和があるのもハンターたちのおかげかもしれないね。
「じゃあ。モモコがミナミリーダーに憧れているのは、彼女に助けられたことがあったから？」
近場で簡単に食事を済ませた私たちは、そのまま広場の近くのベンチに座って、ゆったりと過ごしていた。
「……そして最後は、私がちゃんと見ていない間に、ワンダラーは消えちゃった。ミナミさんは、私を道端に連れていってくれて……『もう、大丈夫。家に帰りなさい』って言ってくれたの。ああ！ もう、安心感ＭＡＸだったよ！」
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2024年2月10日 16時
