霊空行動部 ページ13
基地後の清掃任務が終わり、私とモモコは他のハンターや同僚の子たちと一緒に霊空行動部へ戻ってきた。当初の想定どおり、爆発の影響を受けたエリアの危険レベルはどこもAではなかったらしい。つまり、セイヤと出会った、あの場所だけが異常だったのだ。あの後、エリア内に残っていたワンダラーを掃討したけど、どれも各段と低レベルのワンダラー達だった。
「そういえば、基地のデータを送ったけど、結論は出たのかな？」
『……データ分析隊が更なる調査を行なって、その結果を待つことになったみたいだよ』
「今、思い出すと、ほんとに怖かったよね。あなたが無事でよかったよ」
『モモコが言ったみたく、私の運勢は最高だったのかもしれないね』
怖がるモモコとは裏腹で、表情を変えることなく呑気な様子で私はお茶を飲んでいた。そんな私を、モモコは頬を膨らませて呆れた様子で怒っていた。
「人の気も知らないで……私、ほんとうにあなたが心配だったんだからね。ずっと、信号は途絶えたままだったから。科学的手段もオカルト的手段も全部試してみるとこだったんだよ……」
先ほども思ったことなのだが。なぜモモコは、出会ったばかりの私をここまで心配してくれているのだろうか？ 特別な関係でも友人でもない。ただの同期を。けれども、このことを吐き出してしまえば、きっと目の前の彼女は酷く傷つくだろう。そう思えば、たやすく吐き出すことはできなかった。
「ちよっと、蓮ちゃん！ 聞いてるの！？」
『ちゃんと、聞いてるよ……』
そんな会話を繰り広げていると突然。スクリーン状の壁が暗くなり、リーダーのミナミが隠し扉から現れた。
「霊空の新人さんたち。ようやく正式に会えたわね」
あちらこちらで話していた同僚たちも彼女が現れたことで、ピタリと口を閉じた。そして誰もが、ミナミの方へ視線を向けていた。
「全員、無事でよかった。最初の実戦でのあなたたちの動きは、すでに各々が装着しているハンター探査器によって記録され、報告されているわ。霊空という弓は、適合する矢だけを選ぶ。行動部もそれを参考に、あなたたちを各部隊に割り振ります。今後しばらく、あなたたちに割り当てられる任務の難易度や内容、活動範囲などは、全て隊の担当分野によって決められます。今日以上の未知と恐怖にも直面するでしょう。あなたちには、より広い視野、より柔軟な思考、そして信頼できるパートナーを持つことが求められます。今日の任務については……『よくやった』としか言いようがないわね。ご苦労様」
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2024年2月10日 16時
