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時弥の隣では、無言で頭を下げる沙代の姿に、水木はもう一度深く頭をさげた。
「あら。もう、そんなに仲良くなったの〜」
「……」
優雅に笑う丙江へ沙代は口を開くことはなく、丙江と乙米の間に敷かれた座布団の上へ座る。
「お母さま！」
「早く、座って」
母親と思わしき人物へ駆け寄る時弥へ時貞の三女、庚子は優しげな表情を浮かべて笑う。
「はい！」
時弥は母親に促されて、素直に隣へ座り込む。そうか。あの、何を考えているか分からない男は、村長の長田であったのか。
「みんな、揃うたか？」
襖の薄暗い場所から不気味な男の顔が映り込む。
「時麿兄さん」
襖の暗闇から現れたのは、今にしては珍しい直衣の格好をした男が現れた。白粉を塗った肌とお歯黒。まるで、時代から切り離されたようで、長男の時麿氏はどこか浮世絵離れしていた。
大広間に親族が無事揃ったことで、龍賀家お抱えの弁護士が龍賀時貞翁から預けられた遺言書を読み始めていく。
「一つ、次の時期当主は長男時麿とする」
誰もが時麿ではなく克典が当主になると思っていたらしく、静まり返っていた親族の人たちがヒソヒソと話し始めた。水木もその一人らしく顔を顰めている。
「一つ、時弥を長男時麿の養子とし成人後は時弥が時期当主とする。龍賀製薬は、社長を克典だが乙米を会長として添え置き、全ての決定権は乙米とする」
ピンと来てない時弥を母親である庚子は、嬉しげな表情で時弥を抱きしめていた。
「バカな! お父様は、私に全てを託すと仰ってくれた！ なのに、なぜお父様は私を時期当主を譲ってくれないのか！」
「ふん。お父様の口約束を間にうけるからよ」
嘲笑う乙米と克典の騒ぎへ便乗して、後ろで座り込んでいた親族の人たちが騒ぎ立てる。
「わしら、分家集はどうなるんじゃ！？」
「よこせ！ その遺書は偽物だ！」
克典か上座から降りて、水木の隣へ座っていた弁護士へと掴み掛かる。それと、同時で。分家集の人たちも弁護士へと掴み掛かった。水木は、乱闘に巻き込まれる前にと。下げていた頭を素早く上げると隣は座っていた蓮の手を強く引くと広間の端の方へと避難する。
執筆中
続く
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クジラ大好きマン(プロフ) - 仮主さん» お返事が遅くなり申し訳ありません。言葉を褒めていただきありがとうございます。まだまだ拙い文章力ではありますが、これからも頑張らせていただきます。 (4月18日 23時) (
レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
仮主 - 言葉が綺麗と言いますか、美しいと言いますか,,,,,,何よりもこのような素敵な作品に出会えてよかった！ (3月29日 21時) (レス) @page10 id: 09812a6f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2024年1月7日 11時
