花かけらの波 ページ17
重力に逆らって逆さまに落ちて行く身体。夜の冷たい風が頬を撫でて少しだけ肌寒さを感じさせる。
「……」
表情を変える事どころか悲鳴を上げない私とは対照的で。同じ様に逆さまになっているムルは笑顔を浮かべて居た。
「ねえねえ、死んじゃうと思ってる？ それって、ドキドキするワクワクする？」
「ムル。良い加減にしろ！ 賢者様に何かあったらどうする！？」
「どうする？」
「俺に聞くな！」
「分かったてば！ 賢者様、俺に捕まって！」
優しく差し伸べられたムルの腕に掴まれば。ムルは器用に、私の腕を掴んだまま箒へ跨ぎ、ぐんっと夜空へ高く飛び上がった。風を切りながら、星空の中を飛んで行く。視線を下ろした世界は、見たことのない森と景色が広がって居た。
「……」
「何か失した？ ポケットの中は見た？」
『……別に』
「そっかー？ そんなに落ち込まないで、何処かで探せば？ 行くよー！」
「ムル！ 無茶をするな！ 賢者様をお連れしてるんだぞ！」
カインの注意へ耳を傾ける事なく、ムルは更に加速していく。ムルの身体にしがみつきながら、私はそっと後ろへ視線を向ける。真っ暗な世界の中で光り輝く東京タワーと良く似たタワー。彼等は、彼処から飛び降りたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月8日 1時) (
レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月7日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月4日 23時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月4日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月2日 23時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年9月24日 5時
