見せない涙 (ページ12)

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「カイン。この世界や賢者の役目について、全部説明している暇はありませんよ」
「分かってる。だが、何も知らない相手を連れ去るのは騎士の仕事じゃ無い」

カインは少し考え込むと真っ直ぐと私の顔を覗き込む。

「蓮、単純な説明をしよう。俺達は、あんたの力が必要だ。あんたの力を貸して欲しい。何でかと言うと。俺達がボロ負けしたからだ。毎年簡単に勝っていた勝負に大負けした。油断したつもりも手を抜いたつもりも無い。髭の爺さん達は、俺達が良い加減な仕事をしたと思って怒ってる。だか、そうじゃ無い。何だか、分からないまま。俺達は負けて、仲間を半分失った。もう何も失いたく無い。だから、あんたの力を貸して欲しい。勿論。それは俺達の我が儘だ。この世界は、あんたの世界じゃ無いし、あんただってしたい事があるだろう。あんたには断る権利があるし、それは誰かに責められる事じゃない。だけど、俺達は……。どしても、あんたが必要だ。あんたが一緒に来てくれて力を貸してくれるなら何だってしよう。俺が示せるだけの勇気と誠意を見せよう。この身で返せるだけの、感謝と礼を示そう。この誓いに形はないが。どうか、頼む。俺達を信じて、俺たちに力を貸してくれないか」

カインの言葉に嘘偽りは感じられない。本気なんだ。彼等は何処までもこの世界を救いたいと願っている。

10/1 真摯な眼差し完

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