色をなくした世界 (ページ22)

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校長は、困ったようすで松崎たちを見つめたあと、ナルたちのほうへ軽く頭をさげた。

「それじゃあ、私は」
「おおきにさんどす」

新校舎へ戻っていく校長へジョンはお礼の言葉を述べて、再度頭を下げた。

「……ブラウンさん？どちらから、いらしたんですか？」
「ボクは、オーストラリアからおこしやしたんどす」
「おいっ！ボウズ！頼むからその変な京都弁、やめてくれ！」
「丁寧な言葉いうたら京都の言葉と違うのんどすか？」
「京都弁は方言の一種！悪いことは言わないから、やめろ！な！」
「はあ……」

何が、そんなに笑うほど可笑しいのかが理解できてないジョンは、可愛らしい表情で惚ける。

「そうやったら、仲良うにいかせてもらいますです。あんさら、全部が霊能者でっか？」
「そんなものかな。……君は？」

今まで無表情だったナルの表情にも笑顔が浮かぶ。いや、笑顔と言うよりも哀れみの笑みに見えてしまう。

「へえ。ボクは、エクソシストいうやつでんがなです」

ジョンの素性が明かされて、笑っていた筈の松崎たちがピタリと止まった。ジョンの口調の面白さで、忘れていたらしいが、ここは、数多の霊がでると噂されている旧校舎。取り壊しのため、霊を払って欲しいと依頼が寄せらたからこそ彼等はここに居る。ジョンが校長に連れてやってきたのも、やはりそういう意味のはず。なのに、気が付かないとは。本当に、彼等を信用して良いのか。まあ、霊を感知できないで勝手な憶測ばかりで話す彼等は信用に値はしないが。

「たしか、あれは。カトリックの司祭以上でないとできないと思ったが……。ずいぶん若い司祭だね」
「ハイ。ようご存知で、せやけど、ボクはもう十九でんがなです。若う見られてかなんのです。あんじょうたのみますです」

若く見える彼は、意外にもナルよりも年上だったらしい。ナルも、これには少しだけびっくりしていた。