壊れていたのは…… (ページ4)

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序章ページ4

この知らない世界へ辿り着いた時、私を拾ってくれたのはぶっきらぼうだけどとても優しい兄の様な人だった。兄の家族は、とても優しくて温かな家庭だった。けれども、一つのとある出来事で幸せだった家族に一つの亀裂が入った。何日も帰って来ない事が当たり前の父親と毎日酒に溺れて暴力を振る母親。あんなに温かった家庭が一つの出来事で崩れ去り、人の幸せと言うものは酷く脆い事を知った。優しかった母親は、酒に溺れて暴力を振るい。生真面目だった父親は、女遊びに暮れた。ああ人と言うのはこんなにも変わってしまうのだと。だけど、兄だけは変わらなかった。ぶっきらぼうで偏屈だけど、とても面倒見が良い、けれどもちょぴり泣き虫なお兄ちゃん。私が、母から殴られそうになったりすると何時も背で庇う勇気のある人の子(・・・)。守って上げたかった、1番に幸せになって欲しかった。けれども、そんな優しかった兄はもう居ない。兄が高校3年性の冬。兄は、自身の自室で首吊り自殺した。優しかった兄は、1番に幸せになって欲しかった人はもう居ない……。

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