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白川さんと共に自動販売機で、ホットの缶コーヒーを買って寒空の下、公園のベンチに座って居た。
「定点カメラで景色をずっと早回ししてるだけの映像あるでしょ。あれ見てるとすっごい焦るんだ。太陽があっという間に沈んで、星が動いて雲が流れて、時間が流れることを安応なしに突き付けられるというか」
「私が待たせた事への嫌味とも聞き取れるんだけど」
「無断な時間なんてなかったと思ってるよ。ただ、タイムイズマネーって言うじゃん」
「もっと、焦らず過ごしてみれば？」
「それ、もっと嫌味っぽく言ってみて」
「……」
嫌味っぽくってどう言えば良いのだろうか。頭で、嫌味な言葉を考えるが中々出て来ない。
「少しばかりのシェリーとファッジブラウニーでも食べながら、ゆったり西海岸を歩いてきたら？」
「嫌味の質が米国ね」
やっとで出来た嫌味っぽい言葉を書き綴って見れば、白川さんの鋭い突っ込みが入る。其処から、またお互いの無言の間が続く。気まずいとお互いが思いながら、先に会話を切り出したのは蓮だった。
「……私と関わらない方が良いよ」
「なんで？」
「……ヤクザみたいな奴に狙われてるし、私の交友関係も把握されてて……なんというか危険なの」
ヤクザだけじゃ無い。私と関わる事自体、白川さんにとってはあまり良くない。なんせ、私は人を不幸にしてしまう者だから。まあ、これは白川さんだけの話しでは無い。私と関わる全ての人達にも言える事だ。
「大丈夫だよ。私、こう見えても……」
隣に座って居た白川さんが腰を上げて、私の目の前に立つ。そして、次の瞬間。アクション映画俳優が良くする技の様な動きをし始めた。
「カポエイラやってたから」
「……インド映画始まったのかと思った……。それよりも、カポエイラって？」
「ブラジルの格闘技」
「なんでまた……」
「最初は、ダイエット目的だったんだけど、段々とケイシャーダが、如何に綺麗に決まるかって方向になって……あ、ケイシャーダって、顎への蹴りなんだけど」
「そういう事じゃない。そんな、付け焼き刃のカポエイラで倒せる相手じゃない」
幾ら、カポエイラを習って居たとしても実践で格闘をした訳じゃ無い。習う事と実践では、余りにも違いすぎる。それに、相手と白川さんとじゃ踏んだ場数が違う。だからと言って、白川さんが弱いと言いたい訳じゃない。経験が違いすぎるのだ。
「ムカつく。付け焼き刃のカポエイラだって、なんで言えんの？」
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年6月11日 23時
