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「疑われるも何も貴方は警察とズブズブじゃない」
「人聞き悪いなあ。大門兄とだけだ」
「へえ。弟の方は違うの？」
「弟はバカだから」
「……で？ 貴方は実際、直接失踪事件に関わって無いの？」
「ああ。神に誓って言える」
「その言葉に嘘はない？」
車内に響き渡るドブの低い声とは裏腹の美しく玲瓏な声音が響き渡る。
「ああ……」
初めて聞く蓮の声に、ドブは「こいつ話せたのか」目を見開き驚愕するが、先程の話に嘘偽りは無い為、頷いて同意する。
「そう。では……何故、ドラレコのデータを貴方が持っているの？」
今度は筆談で話し始めた蓮に、何だこいつとは思いながらもドブはとある違和感を抱く。
「お前、さっきから警察見てェな詰め方するじゃねーか」
「協力は信頼関係が無いと成り立たないからね」
「俺は、正直。お前が、練馬の失踪事件に関わってると思ってた。お前の部屋からは度々物音がするって情報もある。だから、最初はお前をユスろうと思ってデータを手に入れた。お前が事件に関わっているなら高く買う筈だと思ってな」
ドブもドブが慕うボスも私を疑って居る。私が、失踪事件に関わりがあると疑って。
「なら、私の疑いは晴れたの」
「いや。お前かも知れないと思ってるが、捜索願が取り下げられた」
「取り下げられたって事は、家族は納得したって事？」
「してねえと思うぜ。"家出の原因はボスとその女子高校生の父親との関係にある"なんて連絡が来たらしい。女子高校生の父親は、反社との繋がりを表沙汰にしたく無くて、渋々取り下げたんだろう」
ドブの話を聞いて居て違和感を覚える。何故、反社との繋がりを持つ父親が原因で家出をしたとは誰が連絡をして来たのか。妙に引っ掛かる。
「それ、誰がそんな連絡をして来たの」
「こんな、入れ知恵する奴は一人しかいねえ。ヤノって男だ」
「ヤノ？ 誰？」
「俺の後輩に当たる」
「後輩なら直接聞けば……」
「俺は、ボスへの上納金を納める為に働いてる。恩義とか筋って奴だ。しかし、ヤノは俺の上納金を上回る事しか考えてない。恩義や筋で動いてない……それに、ヤノは俺を嫌ってる」
「つまり、ヤノに直接聞いても仕方ないと」
「そういうことだ。だから、今後。ドラレコのデータを奪いに来る奴が居たら……十中八九ヤノか、奴の取り巻きに違いない。だから、協力してくれ」
何故、ドブは私に協力を求める？ 容疑者かも知れないのに。それに、ドラレコのデータを持って居るならば直接、ボスへ話せば良いのでは無いか。
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年6月11日 23時
