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此処には居ない蓮との病院での出来事を話して3人で笑い飛ばす。しかし、剛力だけは直ぐに笑顔から深刻そうな表情を浮かべて、先程頼んだお酒を一口飲む。
「……あんたからも説得してくれないか？」
「？ 何を？」
「蓮に大きな病院行けって」
「何処か悪いの？」
「あの子、変だと思わないか？」
「昔から変だよ。あの子は、優しいけど何処か一歩引いて他人と接するし。両親と兄に捨てられたんだ。そりゃあ、そうなるよ」
「違うんだ。なんかこう……もっと根本的な……」
「……そういえば、この前。大門にあった時、なんか妙な事を言ってたような……」
「妙な事？」
「それがさ、蓮が練馬の失踪事件に絡んでんじゃないかって」
「まっさか〜」
お椀に汁物を注ぎながら「あの子が、そんな事出来る訳ないわ」タエ子は笑う。
「蓮の隣人に聞き込みに行ったんだって！ そしたら一人暮らしの筈の蓮の家から最近良く物音が聞こえるって！」
「家鳴りじゃ無いの？」
「警察は、ドブを追ってるって聞いたけどな」
タエ子から出された汁物を啜りながら、剛力が蓮の話からとある人物の話へと切り替える
「ドブって、あのヤバい人でしょ？」
「ママも知ってるんだ。どうヤバいの？」
柿花は知りもしない名前が出て来て、そのドブと言う人物の事をタエ子ママ尋ねた。タエ子は、頬に手を当てて風の噂で聞いた話を話す。
「なんか、クラブで酔って暴れてる半グレ見たいなグループを一人でボコボコにした、地下格闘を一発でKOしたとか」
「なんか、もう訳わかんねーな」
「もう、バイオテクノロジーしか無いらしいよ。あの人倒すの」
「何処まで、マジなのか定かじゃ無いけど、関わりたくは無いね」
「どっちにしろ、そんな荒唐無稽な話し信じられないよ」
3人でドブの噂話で盛り上がって居た中、剛力のスマホに一つの着信が入る。ポケットの中に仕舞い込んだスマホを取り出して、液晶画面に表示された名前を見れば、自身が経営する病院の看護師長から連絡が来て居た。
「もしもし、どうした？」
『お疲れ様です。先生。あの……』
電話越しから言い淀む看護師長へ剛力は首を傾げる。
「……？ なんかあったのか？」
『それが……薬の数が足りないんです。向精神薬で合計600錠程……』
「！ いつから足りないんだ」
『いつからかは分かりませんが、今日も減って居ました。今日のシフトは……』
看護師長の口から出た名前に剛力は目を見開いて驚愕したのだった。
7/4 変わり者の運転手 完
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年6月11日 23時
