夢うつつ。 (ページ9)

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それだけは、ポチタにとって、どうしても許せなかった。あの日、弱ったポチタを悪魔だと罵る訳でも殺す事なく、血を捧げてくれた大切友人。悪魔と人間。デンジとポチタは、決して交わる事なく、掛け離れた存在だったが、確かに二人の間には強い絆があった。ポチタは、大切な友人を生き返らせる為、「デンジ……私に君の夢を見せてくれ……」と小さな声音で呟き、涙を流し、デンジの心臓へ同化した。

　＊

デンジとポチタが同化し、バラバラになっていた筈のデンジの身体がゆっくりと繋がっていく。そして、全ての身体が繋がり、目を覚ましたデンジは勢い良く、ゴミ箱から顔を出した。

「ポチタ！」

ポチタの名前を叫び、デンジは元通りになった自身の身体を見詰める。

「傷が……」

傷一つ無い身体を見て驚く、デンジを優しく蓮は抱き締める。

「蓮が何で、此処に……」

デンジの心臓へ耳を押し付けて、デンジの心音を聞き、蓮はデンジの胸元からぶら下がっている紐を優しく撫でる。

「蓮……ポチタが……」

蓮の手から重なり合う様に、自身の胸元を握りしめるデンジの声音は何処か震えていた。だが、しかし。感傷に浸る暇もなく、何処からともなく、デンジの声を聞きつけた死に損ない達がやって来きた。

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