夢うつつ。 (ページ7)

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デンジが眠りへついて、直ぐ。デンジの隣で眠っていた少女が、静かに目を覚ました。少女は、横たわっていた身体を起こし、辺りを見渡す。ボロい小屋……見知らぬ青年と奇妙な生き物。此処は、何処だろう。少女は立ち上がり、窓の外を眺める。外は、雨が降っており、見た事のない景色が広がっている。また、違う世界へ飛ばされたのか。また、誰も知らない世界で1人きっり。少女は、静かに1人絶望していた。

「うっ……」

外の景色を見ながら黄昏ていた時、隣で寝ていた青年が小さな声で魘されていた。苦し気な表情で汗を掻く青年を見て、少女は、静かに青年の側へよるとお世辞にも綺麗とは言えないパサついた金色に輝く青年の髪を優しく撫でる。そして、枕も何も無い硬い床で眠る青年の頭を優しく持ち上げて、自身の膝の上に青年の頭を乗っける。青年の頭を優しく撫で、少しでも青年の夢が幸せな夢を見れます様にと念願けをしていた時、青年の瞼がゆるりと開いた。

「あ……オマエ」

少女が目を覚ます事を強く望んでいた青年は、目が覚めている少女を見て驚き、勢い良く起き上がる。

「起きたんだな！！あっ！オマエの名前は? 俺はデンジっつんだ！こっちは、ポチタってんだ」

奇妙な生き物……ポチタを抱えて、目を輝かせ眩しい程の笑顔を向けるデンジを少女は戸惑いながら、スカートのポケットに忍び込ませていたメモ用紙を取り出し、自身の名前を告げる。

「蓮つーのか！いい名前だなぁ。俺、ずっとオマエと話す事だけを楽しみに……ボバッ」

楽し気な表情で話していた筈のデンジが突如、口元を押さえ苦し気に血を吐き出した。

「デンジ……？」
「ワフッ」

夥しい血を吐き出すデンジを心配気な様子で駆け寄るポチタ。少女、もとい蓮は、そこら辺で転がっている比較的綺麗な布で、血で汚れたデンジの口元を優しく拭う。

「俺の母ちゃんさ……心臓の病気で血ｨ吐いて死んだんだとよ……」

冷や汗を掻き血を吐きながら呟くデンジを黙って見詰めていると、小さなノック音がボロ小屋内に響き渡った。

「デンジ、悪魔が出た。仕事だぞ」
「蓮……ごめん。仕事が入ちまった。行ってくるな」

優しく蓮の頭を撫でて「此処で待っててくれ。一人は、寂しいかもしれないけど、早く帰ってくるから」それだけを伝えて、デンジは、ポチタを抱えて、仕事へ向かっていった。