夢うつつ。 (ページ6)

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がっかりした様子で、すぐ後ろで歩いているポチタに向けて、デンジはそう告げる。

「早く、目覚めてくれねぇかな」

「オマエと話したい事沢山あるんだよ」眠っている少女の柔らかく白い頬を愛おし気な表情で撫でる。そんな、デンジ達の様子を車の中で見ていたのは先程のぼったくりの老人。

「なんで、んなガキをデビルハンターに雇ってるんです?」

運転先で、煙草を吹かす30代の男が疑問気に老人へ問い掛ける。

「俺達にしている借金を返させてんだよ。正確には、アイツの死んだ糞親父のだかな」
「悪魔を飼ってるヤツに、デビルハンターが務まるんですかねえ？」
「ちゃんとした、デビルハンターはなぁ……。俺達ヤクザに悪魔の死体を流してくれねぇぞ？それにデンジのいいトコは、逆らわねぇトコだ」

デンジの人を疑わない純粋な性格を逆手に取り、利用する汚い男達。反吐が出そうだ。少女が起きていたら、きっとそう思う事だろう。運転席に座って居た男は、車を発信させ街中を歩いているデンジのすぐ側で車を止めると、窓から身を乗り出し、デンジへ声をかける。

「おい！犬! このタバコ食ったら100円やるよ!」
「マジっすか!？いただきます！」

逆らう事もせず、躊躇する事もなく煙草を口の中へ放り込んだデンジを男は、不愉快で下品な笑い声で笑う。そして、「悪魔が出たら、また知らせる」デンジへ100円も渡し、それだけを伝えて、何処かへ去っていった。男達が去った後、男から100円を貰ったデンジはべっと舌を出して、先程食べた煙草を吐き出した。

「これで、3日は食えるな！」

ポチタの顎を優しく撫で、デンジは、また帰宅路をポチタと歩いて行く。

　＊

小さなボロい小屋で、デンジは比較的綺麗なマットレスへ少女を寝かせた。そして、先程帰り道で買った食パンをポチタと分け合い食べて居た。

「この間、聞いたんだけどさ。普通、食パンにゃジャムを塗って食うらしいぜ。まー、オレたちゃ普通なんて夢の話だけどな。死ぬまで、借金返し終わる気しねーし。俺ぁ……死ぬまで女と付き合えねえんだろうな〜。こんな、ボロ小屋にゃ、女呼ばねーし。デートする金もねぇ」
「く〜ん」
「夢ェ、叶うなら女抱いてから死にてえな……。それと、オマエと話してみたい」

デンジは、静かに眠っている少女の横へ横たわり少女の頬を撫でる。「オマエは、なんて名前なんだろうな。どんな声で話すのかな……」ウトウトし始めていたデンジの意識は微睡の中へと消えていった。