79 †Conclusion† ページ19
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O「おい旭、さっさと決着つけてやれ。こっちの身がもたねぇよ」
「……わかりました」
にやっと笑って、旭さんは俺を見る。
この余裕が、俺の固まった信念を揺さぶろうとしてるんだ。
負けじと見返すと、旭さんはおもむろに口を開く。
「翔は渡さない。俺のモノだからな」
そな手から振り落とされた賽子は、二つとも6。
また俺にプレッシャーがかかる。
それでも、ここで引き下がる訳にはいかないんだ。
俺を見つめる翔ちゃんに、少し笑ってやった。
少しだけの意地を、見せたかったんだ。
賽子を手に取り、ぎゅっと握りしめる。
こんなちっぽけなものに俺らの運命がかかってるなんて、今思えばおかしい話だ。
A「翔ちゃんは、貴方の……“モノ”じゃない」
パッと手を開き、その瞬間に目を閉じてしまう。
情けないけど……ここまできたらもう運に頼るしかない。
ぶつかる音が収まって静かになった時、俺はそっと目を開けた。
「……っははは! 残念だったなぁ、翔は俺の“モノ”なの」
一つの6と、もう一つの5。
たった1の差で、俺はこの人に負けたんだ。
賽子から目が離せなくなって、その場に立ち尽くしてしまう。
「じゃあ、これで翔は」
O「旭、こいつ“ら”の帰りの車の手配を頼む」
「……は? 何言ってるんですか、智さん」
O「言ったろ? これは遊びだって。ちょっと翔のことが気になっただけだよ。
もちろん、こいつに金かけたりなんかしてねーよ、勿体無いし」
さらりと言ってのける大野さんと、放心状態の旭さん。
翔ちゃんは俺の方に駆け寄ってくるけど、俺だって今の状況が掴めない。
A「じゃあ、何? 翔ちゃんと……帰れるの?」
S「そうだよっ、これからも今まで通りなんだよ!」
夢の中に、放り出された気分だ。
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作者名：CH!KA､
| 作成日時：2013年11月15日 23時
