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「あ？」
「離せ」
「何ですか？」
「その子を離せって言うとんねん」
「Aちゃんは、」
「お前なんかがその子の名前を呼ぶな」
「何だよ」
「ええから離せ」
「嫌。ぼくの大切な人だから」
「俺の方が」
「俺の方が、大切に思ってる」
「はあ？ぼくに勝てるわけ、」
「警察。呼んどいたからな」
「け…警察？」
「当然やろ。こんなことしといて」
「そんな、そんなつもりじゃ」
「ええから離せ。早く！」
慌ただしい足跡が聞こえて、私の手首は自由になった。
それと同時に身体を引き寄せられ、私は多田さんの胸の中にいた。
「大丈夫やったか？」
『た…っ、たださ、…』
「怖かったな、ごめん。俺が遅かった。」
ありがとうございます。
こんなにも伝えたいのに、声は震えて、うまく伝えられそうになかった。
多田さんがやさしく私の頭を撫でる感覚が伝わって、あふれる涙が止まらない。
「もう大丈夫やから。大丈夫。大丈夫。」
一人で言い聞かせた“大丈夫”より、断然 心が軽くなって救われた気持ちになる。
多田さんの鼓動が伝わって、あたたかかった。
·
「大丈夫か？落ち着いた？」
『はい、ありがとうございました』
「はー…良かったあ、Aのこと追いかけて」
『…あれ、ほんまや。何で多田さんがおったんですか？』
「あぁそれは…え、何でやったっけ」
『え？多田さんもストーカーですか？』
「いやいや、それはちゃうやろ笑」
『はは笑 まぁ、いいです。何でも。助けてくれてありがとうございました』
「ほんま、俺がおらんかったらどうしとってん」
『それは私が大声で撃退してますよ』
「嘘つけ」
『ふふ、そうですね。…どうなってたかな』
多田さんがいなかったら。
本当に、ここで終わってたのかもな。
でも、多田さんがいた。
『そういえば、警察。全然来ないですね』
「あぁ、警察？呼んでへんよ。あんなん脅しや」
『え？そうなんですか？笑』
「そんなん呼ぶ暇なかったわ」
『へー、多田さんのくせに頭良いですね』
「俺のことナメてる？笑」
『ナメてないです笑』
「警察呼ぼうなんか全然思わんかったなぁ、気づいたらあいつの肩掴んどった」
そう語る多田さんの横顔は、いつもより何倍かかっこよく見えた。
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ぐり - 初めまして！雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (5月11日 13時) (
レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます！ リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか？？哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します！ (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました！素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻♂️リクエストありがとうございました！ (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです！D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を（死ネタ不可でなければ）お願いします！ (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年5月5日 10時
