理由なんて / R.Satsukawa * ページ31
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日曜日の表参道は人が多い。
久しぶりに会った友達と、人混みから逃げるようにカフェに入った。
30歳を目前に控えると、話題は自然に結婚とかそっちの方向へ寄っていって、30歳を目前に控えても、友達の恋愛話への好奇心は一切衰えていなかった。
「まだあの彼氏と続いてるの？」
『うん、一応ね』
「へー、その人のどこが好きなの？」
『…あー、どこだろ笑』
何回も、何人にも聞かれた。
好きなところは？好きな理由は？どこが良いの？
そう聞かれる度、私はぎこちない笑みを表に出してみせる。誤魔化してるわけじゃなくて、ほんとうに思いつかないのだ。懸命に頭を働かせて、脳をぐるぐる回転させて、考えた結果、そのぎこちない笑顔をつくる。
「ねー、恥ずかしがんないで教えてよ」
『えー、でもなあ笑』
「ほんと、Aっていっつもそうだよねー」
友達はみんな、私に"シャイだね"と言う。あとは恥ずかしがり屋とか、照れ屋とか。想像の中で偽物の私を勝手につくりあげて、納得してくれる。
『あ、これおいしいわ』
このカフェにくるのは初めてじゃないけれど、このケーキを頼んだのは初めてだ。口角がとろけるように綻んで、すぐ脳内に凜くんの顔が浮かぶ。凜くんにも食べてほしいな、これ。
さっき、好きな理由はどれだけ考えても思いつかなかったのに、凜くんを思い出すために考える必要はすこしもなくて、それは私にとってあまりにも自然なことだった。
おいしいな。凜くんにも食べてほしいな。
きれいだな。凜くんと一緒に見たいな。
楽しいな。今度は凜くんと一緒にしたいな。
そうやって私の脳内の分岐はすべて"凜くん"にたどり着くように出来ていて、だから、ああ私はちゃんと凜くんのことが好きなんだな、と安心する。
明確な理由はわからないけれど、とにかく私の心はいつだったか凜くんに持っていかれてしまって、今はそれで幸せなのだ。
もしかしたらその感情は、“恋”よりも“依存”という文字がお似合いなのかもしれないけれど。
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ぐり - 初めまして！雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (2023年5月11日 13時) (
レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます！ リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか？？哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します！ (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました！素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻♂️リクエストありがとうございました！ (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです！D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を（死ネタ不可でなければ）お願いします！ (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年5月5日 10時
