いつか心中するまで / J.Kujo * ページ26
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“ニコイチ”と言うとあまりに軽く聞こえるかもしれないけれど、つまりはそういうことなのだ。ニコイチ。2人で1つ。その言葉通り、私たち2人の人生は1つになってしまったのである。拓文くんが生きる限り私も生き続けるし、拓文くんが死ぬなら私も死ぬ。
日に日に沈んでいく拓文くんを見て、そろそろ潮時かもな、とは少し前から思っていた。
死ぬのはこわくないと言ったらそれは間違いなく嘘になるけれど、死ぬよりも、拓文くんのいない世界を生きていく方がもっとこわい。私たちはいつからかそういうふうになってしまった。
「しんどい。もうしんどいわ、A」
『うん、そうやね。つらいよね』
ソファの上で、拓文くんが頭まですっぽりと布団をかぶって縮こまり、小さな声で弱音を吐き続ける。深夜2時。毎日のようにこの時間はやってきて、もうだいぶん慣れてしまった。
「僕って、生きてる意味ないかな。あぁ、ないよな、あるわけないか。ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい」
『…拓文くんが生きてるから、私、拓文くんと出会えたんよ。拓文くんと会えてほんまによかったと思ってるよ、私』
「…A、優しすぎるわ。Aとおったらほんまに死にたくなる」
僕はこんなにダメなのにAはこんな僕にもいつも優しくて申し訳なくなるんよ僕なんかが一緒におれる人じゃない早くどっか行って、早く、どっか行けよ、早くどっか行けどっか行けどっか行けどっか行けどっか行けどっか行けどっか行けどっか行け
か細かった声が、どんどん激しくなっていく。
どこかへ行けなんて言われても行けるわけないんだ、私と拓文くんはたった1つだから。今更離れられるわけがない。
「なんで、なんでどこも行かへんの、僕こんなひどいこと言ってんのに、なんで？」
『私ね、拓文くんがおらんとダメなの。どんだけひどいこと言われても、拓文くんから離れたら私が死んじゃう』
「…Aは、死なんといて」
『じゃあ、拓文くんも死なんとってね』
丸まった布団の中から、ぬっと手が伸びてくる。その手を取って、ゆっくりと指を絡める。しっかりと繋ぎ止める。どこにも行かせない。私は絶対に手離さない。その繊細さの表れのように白くてきれいな指を眺め、弄ぶ。小指の先まで心から愛おしく思える。拓文くん、私がいるよ。ずっと。
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ぐり - 初めまして！雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (5月11日 13時) (
レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます！ リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか？？哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します！ (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました！素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻♂️リクエストありがとうございました！ (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです！D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を（死ネタ不可でなければ）お願いします！ (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年5月5日 10時
