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桃「……Aちゃん」
『………はい』
桃「こっち向いて」
その言葉に従って顔を覆っていた両手を離し、桃沢さんの方を向こうとすると、瞬く間に視界が狭まった。
頬に触れる冷たい手と、唇に感じる柔さ。
数秒 そのままでいた後、桃沢さんは名残惜しそうに顔を離した。
『……え、あの、これはどういう…』
桃「かわいいから」
『え？』
桃「かわいすぎるからじゃん、Aちゃんが」
さっきよりも少し赤くなっている頬と、潤って輝いている目。
熱があるかのようにぼーっとして働かない脳では、この状況を理解することができなかった。
桃「俺もさ、好きなの」
小さな声だったけれど、しっかり私に届くように伝えてくれた。
桃「俺、Aちゃんのことが好きです」
『…ほんと、ですか？』
桃「ほんとだよ、だから」
桃沢さんは両手を広げ、私を包み込んだ。
桃「もう、ライブで会えなくても、好きなときに会えるよ」
指先は冷たかったけれど、その身体は確かな熱を持っていた。
桃沢さんのあたたかさを肌で感じて、泣きそうになる。
大好きな人が、私に好きと言ってくれる。そんな奇跡は夢のまた夢だと思っていた。
夢のような気持ちで、ただその優しさに身を委ねた。
『桃沢さん』
桃「なぁに」
『恋人、ってことですか？』
桃「うん、そうだよ」
桃「Aちゃんは、俺の恋人」
恋人、という響きがあまりにも現実味がなくて、ふわふわとした気持ちでその言葉を聞く。
桃「大好きだよ」
耳元で聞こえる甘く優しい声に、ついに涙がこぼれてしまった。
夢でもいいと思った。
夢でもいいと思えるぐらい、幸せだった。
桃「え、え？泣いてんの？」
桃沢さんが慌てて身を離し、私を見る。
『夢なんじゃないか、って思うぐらい、嬉しくて』
そう言うと、桃沢さんは指で私の涙を拭った。
桃「夢じゃないよ」
涙で滲んだ目でもわかるくらい、その人は優しい顔をしていた。
桃「この現実で、俺はAちゃんと一緒にいたいと思ってる」
“現実”
その二文字は、私にとって辛く厳しいものでしかなかった。何度も打ちのめされ、心を折られてきた。
でも、今ならそんな現実も愛せそうで、不思議だった。
『私も、ずっと一緒がいいです』
桃「ありがとう」
今度は、私から桃沢さんに抱きついた。
心から、愛を込めて。
桃「ずっと一緒だったらいいね」
『一緒ですよ』
根拠もなく、そう思った。
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哀(プロフ) - ミサキさん» こちらのリクエスト作品を続編の方で公開させていただきました！ありがとうございました🙇🏻♂️ (2022年7月2日 10時) (
レス) id: 0fa5c6ec0e (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - 了解です！待ってます！ (2022年4月25日 1時) (レス) id: 1fece32f94 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - ミサキさん» リクエストありがとうございます🙇🏻♂️あと少しでこちらの作品の話数が上限に達してしまうので、続編(？)にはなってしまうかもしれませんが書かせていただきます！ (2022年4月22日 18時) (レス) id: 924204f01f (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - またリクいいですか？スカチャンのヤジマリーさんで、楽屋で飲み物をお互い飲んだら何故か入れ替わってしまって、入れ替わった状態でネタをした。ネタが終わったあと、ヤジマリーさんの相方の宮本さんに説明して、どうしたらいいのか、考えて最終的に戻る話お願いします (2022年4月20日 0時) (レス) id: 1fece32f94 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - うひゃー！嬉しい！ありがとうございます！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page48 id: 1fece32f94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年1月29日 18時
