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人間味 ページ4

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漫才劇場の楽屋で珍しく川西さんがくつろいでいたので、
隣に座らせてもらった。

川西さんの手にはiQOSとスマートフォンが握られていて、
何だか 時代、って感じがした。


『あーあ、川西さんがiQOSを選ぶ時代かぁ』

川「何?笑 煙草よりいくらか身体にええやろ」

『んーまぁめちゃくちゃ長生きしてほしいんで良いですけど』


やっぱり、絵になるのは紙煙草の方だったな、と思う。


紙煙草を吸っていらっしゃった当時は
身体に悪いから早くやめてほしいって思ってたけど、
大切な物は失ってから気づく、とは まさにこのことか。


川「Aちゃんは煙草吸ったことないの?」

『ないですね、そういえば』

川「まぁ絶対吸わん方がええけどね」

『あんだけ吸ってはった人に言われても』


カカカ、とカラスみたいに笑う川西さんの横にいると、
自然と幸福度が上がった。



川「Aちゃんって、不真面目なようで真面目よね」

『んー…どうなんですか?それ笑』

川「まぁ、どう捉えるかは人それぞれちゃう?」

『川西さんはどうなんですか』

川「うん、良いと思うよ、そういうとこ」

『…なーんか、感情こもってないっすよねぇ』

川「はは、そう?笑」


だいたい、いつも優しく穏やかだからこそ、
本心が全く見えなくて、怖くなることがある。


川「真面目な子、めちゃくちゃ良いと思うよ」

『不真面目より?』

川「不真面目より。」

『じゃあ、真面目でよかったです』



そして、人たらしだなぁ、と思ったりもする。


たくさんの人に愛されて、たくさんのファンがいて。


私もファンの一人だからこそ

この人に惹かれる理由がわかってしまうのだけれど、


本当に、この人には隙がない。



『…人間味、ないですよね』


川「……え、俺?」

『はい』

川「そんなことないよ笑」

『そうですか?』

川「俺だって普通にスーパー行くし、酒飲んで酔っ払うし、道で転けるで?」

『そう言われたらそうなんやろうなって思うんですけどね』

川「何その納得いってへん感じ笑」

『何なんやろ、』



その “人間味” すらも完璧に思えてしまうほど、

私にとってのあなたの存在が、

大きくなりすぎてしまったのかもしれない。



『今日、飲みに行きません?』


川「…何?俺を酔わせる気?」


たしかに、あなたの人間らしい姿は見たいけれど。



『そんなん、川西さんより先に私が酔っ払いますよ笑』

川「そうやな笑」


残念ながら、今の私には到底無理な話。


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作者名: | 作成日時:2022年1月26日 11時

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