きみの願いが叶うなら (ページ1)

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prologue ページ1

Joe side.

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「一つだけ願いが叶うとしたら、」

『…は？』

「何をお願いしますか？」

『お願い？』

「一つだけですよ」

気に入っているらしいイタリアンのお店で
パスタを食べ終わると、
突然そんなことを言い出した。

『んー、そうやなぁ』

僕が真剣に悩んでいるのに、
聞いた本人は紅茶を飲みながらメニューを眺めている。

サラダもピザもパスタも食べたのに、
もしやまだ何か食べる気なのだろうか。

『Aが僕のことを好きになりますように、かな』

「あー残念、それは叶わないですね」

『自分で聞いといて何なん？ていうか叶わへん場合もあるん？』

「神様に提出する前に私が内容をチェックするので…」

『んー、じゃあ』

身を乗り出して、Aに顔を近づける。

『Aが僕を意識してくれますように』

そう言うと、Aは目を逸らして
赤くなった顔を手で覆った。

「ちょっと、近いです」

『あ、今もしかして願い叶えてくれた？』

「叶えてないです」

『あれ？僕のこと意識してないの？』

「してないです」

『意識してなくても顔は赤くなるんや〜』

「ほんまに黙ってください」

可愛い僕の後輩と、二人の時間。

『ねぇ、Aのお願いは？』

「九条さんが私の視界からいなくなりますように、です」

『ざーんねん、それは叶いません』

僕だけ見とけばいいのに。

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