あした世界が終わるなら

桃色 ページ26

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川西さんの好みを聞いてから、落ち着いた色合いの服しか目に入らなくなった。

黒、紺、白、黒、ベージュ、白。

世の中には落ち着いた色の服がたくさんあるものだ。


川「Aちゃんはどんな服でも似合いそうよなぁ」

『…え？』


落ち着いた色の服ばっかり見ていたので、急に川西さんの方を見たら、その眩しさに目と脳が追いつかなかった。



川「あの…何て言うんやろ、ほら、あれ見て、」


立ち止まって、川西さんは、右手にある店のマネキンが着せられている服を指さした。

少し襟元が詰まった黒のノースリーブトップスと、丈の長い黒のパンツ、ヒールの高いサンダル。
だいぶ大人っぽい服装だ。


川「ああいうのも似合いそうやし、あれも」


そして、川西さんは左手の店に目線を移した。

フリルが使われた白のブラウスに、薄い桃色のロングプリーツスカート。
さっきのマネキンとは真逆のような、だいぶ可愛らしい服装。



川「Aちゃんは、どっちも似合いそうやねんなぁ」


そう言って、川西さんは微笑んだ。


『そう、ですかね』


どちらかと言えば、私は先に見た黒ベースのコーデに似たような雰囲気の服をよく着る。

いつからだろう、ヒラヒラした服、というかそもそも可愛らしい服はほとんど着ないようになってしまった。



でも、川西さんが “似合う” って言ってくれるなら。



『…じゃあ、こういう可愛い服も、買ってみようかなぁ』


川「え、ほんまに？」


川西さんは、目を大きく見開いた後、その目を細くして微笑んだ。





川「絶対、似合うと思うよ」


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