ページ17 ページ18
驚いて目を開けたらソファーから降りて座る御幸が目の前にいて、凭れていた身体を起こした。
「今更って思うかもしれないけど、俺は今でもAが好きだ。ずっと好きだったから、あの時告白してくれたの本当に嬉しかったんだ。」
ずっと聞きたいと思ってた言葉がなんでこんなタイミングなんだろう。
「なんで泣くんだよ。」
「…え?あれっ?……っ、ふっ…なんでっ……」
言われて初めて涙が出ている事に気づいた。
一度認識したら止める事の出来ない涙に困惑するしか出来なくて、気付いた時には御幸に抱き締められていた。
「…ごめっ、とまらないっ……」
私が落ち着く頃には黙って抱き締めてくれていた御幸の肩が涙で冷たくなるほど濡れていた。
「も、大丈夫。ちょっとタオル取ってくるね。」
「あぁ。」
御幸の腕の中から離れ洗面所へ行き冷たい水で数回顔を洗ってから新しいタオルを手に戻り、濡らした肩の水分を少しでも吸収させようと持ってきたタオルを押し当てた。
「ごめんね。服濡らしちゃった。」
「これくらい直ぐ乾くんだから気にするなよ。」
「ありがと…」
肩に押し当てた手を離されれば改めて御幸の横に座り直した。
「一也、ありがとね。最後に好きって言って貰えて嬉しかった。」
「最後って…俺は最後にしたくない。あの記事も否定する。もう他の子と会ったり遊んだりしない。だからっ、」
切羽詰まったような声と同時に肩を掴まれると御幸と正面に向き合うように体の向きを変えられた。
私の両肩を掴んで項垂れて懇願する御幸の姿に心が揺らぐ。
だけど、今は一緒にいられる自信がない。
「ごめんっ!そう言ってくれるのは嬉しいけど、私が一也をちゃんと信じられない。」
「今まで俺のしてきたことが原因なんだから当たり前だ。これから信じてもらえるようにするから。」
「一也、あのね」
「なぁ、頼むよ!俺は離れたくない。傍に居てくれ。」
「もう不安になったり疑ったりする毎日は嫌なの!」
一つ一つの言葉や行動を素直に信じたいのに、どこかで疑ってしまう自分に嫌気がさす。
それでも好きって気持ちが消えてくれないから苦しくなる。
そんな生活を続けられるほど私は強くない。
.
31人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮月(プロフ) - 欅夏希さん» ありがとうございます!早めに完結出来るよう更新していきますので、最後まで楽しんでくださいね! (2020年3月29日 2時) (レス) id: ac253ad62c (このIDを非表示/違反報告)
欅夏希 - これからの展開が楽しみです!楽しみに待っています! (2020年3月26日 23時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蓮月 | 作成日時:2019年12月30日 2時