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不意に頬を両手で包むまれたかと思えば一度は離れた距離が縮まりウィルの方へ顔を固定されてしまった。
『キミも彼の事まだ好きなんだろ?素直になった方がいい。』
『…それでも別れるって決めたのは私だから。』
『それなら、この機会にちゃんと話し合うべきだ。他に男が居ると思えば彼の本音も聞けるだろ。そしてキミも本音をぶつけて改めてどうしたいのか考えたらいい。』
ウィルの目を見て話しをしているうちに別れを告げた時より気持ちが落ち着いてるのを感じた。
今ならちゃんと御幸と話せるかもしれない。
ウィルの言葉を受け入れれば後は話し合う決意をするだけ。
小さく深呼吸して気持ちを強く決めれば、頬を包む手を掴んでゆっくりと離させた。
『……そう、だね。ちゃんと話してみる。』
『いい子だ。キミが幸せになる答えが出せたら、オレも悠も嬉しい。』
私の言葉に満足したのか嬉しそうに笑ったウィルの顔が近付いてきたと思ったらチュッと頬にキスをされた。
『頑張れ。』
顔が離れていく時に小さく囁くように聞こえたエールが嬉しかった。
「ありがとう。…いたっ!!」
ウィルにお礼を告げると掴まれていた腕の力が強くなり痛みを訴える。
それでも力が弱まらずそのまま無言で早足に歩き出した御幸に引きずられるようにしてウィルとの距離が開いた。
「ちょっ!一也、まって…マフラー返さなきゃ」
御幸を引き止めるようとしても聞いてもらえず開く一方の距離に振り返る事しか出来ない。
振り返った先には行ってらっしゃいと言うようにウィルが手を振っていた。
その姿にゴメンとだけ手で合図をすると転ばない様に御幸の後ろを歩いた。
「ね、ねぇ、一也っ!腕、離して。痛い…」
私の言葉に歩みを止めないままチラッと視線だけを向けた御幸は、掴んでた腕を離すと今度は手を繋ぐように掴み直した。
「……これならいいだろ」
「よくないっ!結婚報道出た後でこんなとこ撮られたら、ある事ない事書かれちゃうでしょ。だから離して。」
「お前との記事ならいい。」
「私はよくないっ。……今までの努力を無駄にさせないで。お願い…」
ゴシップになって御幸の野球の邪魔にならないようずっと気を付けてきた。
それは御幸も分かってくれてたから、会う時は人目を避けたし慎重になった。
今まで徹底してた私を知ってるからか腕を離してくれた御幸にホッとして歩みを止めた。
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蓮月(プロフ) - 欅夏希さん» ありがとうございます!早めに完結出来るよう更新していきますので、最後まで楽しんでくださいね! (2020年3月29日 2時) (レス) id: ac253ad62c (このIDを非表示/違反報告)
欅夏希 - これからの展開が楽しみです!楽しみに待っています! (2020年3月26日 23時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮月 | 作成日時:2019年12月30日 2時