【制服戦争】企画参加！ｄ((・・*))

いつも通り・２ ページ5

小夜はハッと我に返り、理事長へ精一杯皮肉な笑みを浮かべてみせる。



「理事長、貴女は見落としている！ワタシが一人だという事は…。」



理事長は小夜のヘタな皮肉の笑みに拍子抜けしたような顔をしてから、眉を潜める。


そしてライフルを足蹴に飛ばしてから小夜のスカーフをぐいと掴んで、ジロと見下した。



「それは、どういう意味なの。鬼鶴さん」


「ワタシが一人という事は…！」



さぁ！


思った通りに、あの聞き慣れた足音が階段を下ってくるではないか。


そして、遠くに映るあの影。



不意に頬が緩んで、小夜は泣きそうにさえなった。




そしてその影は、ぱっかと顎を外す佐田を横目にライフルを持ち上げ、理事長の頭を一発。


くらりとよろける理事長に回し蹴りを一回、完全に地に伏しさせてから、ライフルの銃口をかちりと合わせる。



「俺の小夜に触れんな、佐田先生よぉ…」



あわあわと顎を震えさせて小夜から手を放す佐田。


ふっと力が抜けたような小夜をしっかりと抱いて、音也はライフルの標準をいよいよ定める。



「軸丸…、よせ、撃つな。頼む、止してくれ…」



両手を胸の高さに挙げて許しを乞う佐田に、音也は言い放った。



「どうせ、小夜を良いように使いたかったんだろ。そうはさせないからな」



普段明るく人の良い音也の豹変振りに、小夜も腕の中で赤面せずにはいられなかった。


そして、次の瞬間に、廊下にパーンと響き渡る銃声。



細い細い麻酔針が佐田の喉に命中し、佐田は白目を向きながらゆらっと倒れた。



しかし背後の理事長が自らのヒールを音也の後頭部に目がけ振り上げている…。


理事長が振り下ろさんとした時、ざっと小夜が白刃取りの要領で捕え、そのまま体術をしかけた。



「理事長、ワタシが一人の時は、必ずオトヤンが探しに来る時です。」


「…、あほらしい。」



小夜はドヤッと満足そうに笑って腰に手を当てた。






帰り道、擦りむいた膝を気にしながら小夜が歩いていると、突然背後からぽんと頭を叩かれる。


驚いて振り向くと、少々むくれた音也だった。



「また勝手に居なくなって！駄目でしょうが」



そして、いつも通り優しく笑う。



「ほら、手。繋いで帰ろう。」


「うん！」




その後、音也が小さく“また居なくなるから”と呟いたのは、知る由もない。

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