とある朝食会 ページ3
「………ということで、美月隊は一定期間の間だが柊シノア隊と組むことになった。｣
朝食をとりながら、皆に先程のことを話した。要するに柊シノア隊はまだチームを組んだばかりらしく、私達はその教育指導係をやらされる訳である。グレンに反論するものの、俺は忙しいんだと蹴られた。
｢教育係って、俺らはベビーシッターかよ｣
｢しかも隊長は柊家様で三宮家もいるんだね…｣
｢ちょっと楽しみかも｣
｢はあ？お前の頭はお花畑か｣
枢の発言によって夏蓮との口論の引き金を引いたようだ。それを肇が宥めるが一向に収まる気配はない。皆(一人を除く)はやはりこの仕事を嫌がっているが残念ながら遂行する他しかない。渡された資料を見ていると、ふと思い出した。
｢そういえば、柊シノア隊の内3人が黒鬼装備者らしい｣
枢からはあ！？と驚く声が上がる。驚くのも無理はない。この隊の中でも黒鬼装備者は二人で、それだけでも騒がれたのである。
｢曲者揃いかよ………｣
｢黒鬼が三人ってすごーい！｣
｢お前、本当にウザイから黙ることできない？｣
｢何で黙らなきなゃいけないのよ！｣
｢ちょっと、2人とも落ち着いて｣
夏蓮の好奇心旺盛に呆れる。すごーい！だけで済まされる問題ではない。本来そのようなことなど、絶対に有り得ないのだ。
｢美月、顔が険しいけど｣
悠人が私の顔を見ると、眉を下げて苦笑する。無意識の内に険しい顔をしていたんだろうな、と思って顔を触る。
｢色々と問題が浮上してきたから、この先が思いやられた。｣
｢だろうな………まあ、肇が面倒見てくれるだろ｣
｢えっ、俺なの？｣
｢肇は面倒見がいいからな、任せるか｣
ええ…と困惑する肇に、嘘に決まっているだろうとからかってやる。実際に肇は面倒見がいいのは本当だが、此処は隊長として腹を決めるしかない。
｢大変だが、頑張るしかない。協力してくれるか？｣
そう言うと、皆は一瞬呆然とした顔をするが、にいっと口角を上げて頼もしい顔で笑った。
｢当たり前だろ、任せろよ。隊長。｣
｢あはは、俺も精一杯頑張るよ｣
｢私に任してくださいよ、我が隊長さん！｣
｢はいはい、分かりましたよ｣
やってやるか、と決意すれば彼らと同じく私は笑った。
続く
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作者名：黒羽美月 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年7月30日 21時
