桃鬼さんと魅惑のお姫さま【桃】

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「おう！でかしたらうる！はっはーん！！武器が手に入ればこっちのもんじゃいっ！！」


お、無事成功したっぽい？

康二さんの声が高くなってる。


ああ、そっち見えないんだよね。




「お前一人で俺達と一戦交える気？ それはさぞかしお強いのでしょうね？」



中くらいの鬼さんが嫌味っぽく潮笑う。


でも確かに康二さんだけじゃ分が悪い。いくらこっちの人数が多くても、戦える人が一人ってこれもう終わってない？


せめて捕まるなよ私のお馬鹿さん！





「よし、一先ず逃げるよっ！」

「え？」



気のせいですか？

私の耳には亮平さんの「逃げるよ」宣言が聞こえて、砂埃がたちゲホゲホ咳をしている私と鬼達。



「あいつら逃げやがった！」

「ええ、うっそー！？」

「お前要らない奴だったのか？」

「いやー、そんなはずは、」



だって一応主人公なはずです。

普通に鬼さんに同情されてるよ私。




「兄ちゃん追わなきゃ」

「いや良い。船が無くなった奴らに逃げ道は浅瀬道しかないからのお。そこにいればあいつらはこの島から出られん」

「だな。あいつらは後回しにして、とりあえずこの女子を連れ帰ろう」

「ええ、後回しよくない！反対！」




捕まえろ！捕まえろ！とコールしていたら、お尻を一発バチンされた。まじぴえん。






………とまあ、上手く逃げてくれたらいいんだけど。









『 らうる、』

『 今度はなに？』

『 刀を取ったら、これを投げて』

『 これは？』

『 ただの灰をパンパンに詰め込んだ袋』

『 ……… 』

『 まあまあ、目隠しくらいにはなるからさ』








上手く逃げて、そして佐久間さまを捜して。






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