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そよそよと爽やかな風が通り抜ける客間に通され、目の前に座る殿様の視線を頭から爪先まで余すこと無く観察されている。
く、喰われる？
私、食べられるために連れて来られたとか？
「そんなに畏まるな。もっと傍に寄れ」
「いや、遠慮致します」
殿様の名は翔太と言うらしい。
一見クールで甘い容姿をしているけど一度口を開くと、さっきから言ってることが五歳児並の言葉がズラリと並んでいる。
「桃姫、お前の名はなんて言うんだ？」
「……Aです」
「ふうん、Aか。可愛いな」
「っ、それはどうも」
ツンとしていたかと思えば、破壊力抜群な甘い甘い笑みを浮かべている。
そんなに名を知れたのが嬉しいのですか。そちらこそ可愛いじゃないですか。
が、それとこれとは話が別で、私は客間に通される前の話に戻したいんだ。
「ところで翔太様、先程仰ってた"嫁"とはどういうことでしょう？」
「ん、それはお前が俺の嫁になるって話だ」
えっへん！じゃないよ。
主旨が抜けてんだよ。
馬鹿なの？
「ですから、何故私が貴方様の嫁にならなくてはいけないのですか？」
私はまだまだ誰の下へも嫁ぐつもりなんてなかった。
なぜなら桃から産まれたなんて奇妙な私を愛して可愛がって育ててくれた、お父さんお母さんに私はまだ何一つ恩返ししてないんだから。
遠い地に年老いた二人を残して嫁ぐなんて出来るわけない。
「私、帰ります」
立ち上がり踵を返し出口へ向おうとした私の腕をグイッと引っ張り、自分の腕の中へ抱え込むのは翔太様。
あれ？ 五歳児は何処へ？
「な、なにをするんですか！？」
「帰るなど許すわけないだろ。俺はAの噂を聞いてから、もう何年もお前に会うのを待っていたんだぞ」
幾つもあった縁談を断り続ける事が如何に大変だったか？
知らないよ、そんなもの。
するりと頬に伸びる指。
顎を掬いとると、自分の方へと無理矢理に向かせようとする。
この殿様、暴君だ。
そういえは此処へ来る前に舘様が『殿はとても面倒くさ…… 』って、あれ面倒くさい人と言いかけて止めたやつだな。
面倒くさい、自分勝手、この世は全て俺様のために動いてる！的な奴だな！
「本当に美しいな、」
そう言って瞳を細める貴方様も大層美しいお顔をされてますよ。
けれどそれは許せない。
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (
レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜！！続きも楽しみです！ (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます！！お話書かれてるんですね！？よし見に行かねば！！ いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです！一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください（笑）食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ？（笑）まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです！ありがとうございました！ (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年10月24日 1時
