▼第四章 いざ鬼退治へ! ページ34
・
ぴょーん、ぴょーん、と木々を渡っていく鬼佐久間さま。
「はあ、ええな。あんだけ歩いても元気満々やん」
旅館を出てから一日半、少しずつ休憩を挟んではいるものの殆ど歩き通しの私たち。
一番若いらうるでさえ息が上がってるというのに、佐久間さまは常にニコニコとしていて、疲れなんて感じさせなかった。
「あいたっ」
足の先に違和感を感じた時には既に遅し。
隣を歩いていた康二さんの肩を借りて草履を脱ぎ足袋を目視した。
じわりと血が滲んでいる。
「ああ、切れてもたんやなぁ」
亮平さんが木の上にいる佐久間さまを呼び止めて、少し休憩することになった。
木の幹に座り足袋を脱ぐと、親指と人差し指の間が痛々しいことになってて「うひゃー」と顔を背けた。
「桃姫ちゃん、大丈夫ぅ?」
いつの間にか木から下りてきた佐久間さまは、膝を抱えて私の顔を覗き込む。
きゅるんとした大きな瞳に心配の色が宿る。
「大丈夫ですよ」
「んー、ちょっと貸してみ」
何を貸せばいいのか確認するよりも早く、佐久間さまは自身の膝の上に私の片足を乗せた。
そして懐から筒を取り出し蓋を開けると中に指を突っ込む。
「ちょっと痛むだろうけど我慢してね」
「え?……ったぁ…」
指に付いた緑色の何かを傷口に塗られる。
染みる。痛い。
「それなにぃ?」
痛みで悶絶中の私なんて放って、らうるは興味津々なようで、佐久間さまに筒の中身を尋ねてる。
うう、痛いよぉ。
「これはね薬草でやんすよ。神が住まうと言われる山にしか生えてないから、めぇぇっちゃ効くの。でもその変わりすっげえ痛いけどね。笑」
「へえ、そうなんだ。Aさま、大丈夫?」
「だい、じょうぶじゃない…っ」
佐久間さまの嘘つき!
ちょっと痛いって言ったじゃないか、ちょっとって!
めちゃくちゃ痛いわ!
.
1623人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜!!続きも楽しみです! (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます!!お話書かれてるんですね!?よし見に行かねば!! いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです!一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください(笑)食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ?(笑)まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです!ありがとうございました! (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月24日 1時