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「お、にぃ?」
亮平さんの声が凄く遠くに感じる。
ぼやっとする意識の中で、声の方を見ると不安そうな顔をした康二さんとらうる、緊張気味の亮平さん。
どうしてそんな顔をしてるのか、私には分からない。
ああ、頭がぼーっとする。
「ひひっ、そのままちょいとお眠りよ。桃姫ちゃん」
その言葉を最後に私の記憶は終わった。
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次に意識が戻った時、モゾモゾと体を這い回る感触に違和感を覚えて薄らと瞼を持ち上げる。
「ん…」
布が擦れる音、ひんやりとした手の感触に首筋に感じるねっとり感。
「ふふ、起きちゃった〜?」
やたら楽しそうな声が近場で聞こえ、さすがに重い瞼も全開だ。
瞼く度に瞳に映るのは、佐久間さまの白く透き通った肌と黒黒とした大きな瞳。
にっと笑えば、鋭く尖った八重歯が見えた。
「さくま、さま? あっ……ぇ?」
胸に感じる擽ったさ。
ちらりと見れば、長い爪がクルクルと胸の突起の周りで円を描いている。
え?え?
「ちょっとだけ、味見させてほしいでやんすよ」
「味見って、っ、」
ぺろりと赤い舌が首筋を下から上へ這い上がり、やがて耳朶をかぷっと甘噛みしては、わざとらしく音を立てる。
「んっ……っはあ、…」
「にひっ、良い声。堪んないねえ」
_____バンッ!!
突然開いた襖、スタスタと畳を擦る足音。
スパーン!!
と軽快に響くハリセンの音と振動。
「て、ハリセン!?」
「いったーーいっ!! なにすんのさ阿部ちゃん!!めっ!」
「めっ!じゃない! 貧血で倒れてる人間相手になにしてんだ馬鹿鬼!」
私の上に跨ったまま叩かれた頭を摩ってる佐久間さまを、容赦なく亮平さんが叱ってる。
はてこれは一体どういうこと?
てか私は貧血で倒れたの?
「Aさま、大丈夫?」
「…らうる……」
未だに状況が飲み込めない私を佐久間さまの下から引き出してくれたのは、らうるだった。
でもあれれ?
「らうるって、髪黒くなかったっけ?」
「ああそれな、風呂入ったら汚れ落ちてん」
「ええ!? あれ汚れだったの?」
「恥ずかち!」
らうの髪は煤や埃やらで汚れていたようで、黒から銀髪に美しく輝いていて、服も前より上等な物を身につけている。
聞いたところによれば、それ全て佐久間さまがやったことらしい。
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜!!続きも楽しみです! (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます!!お話書かれてるんですね!?よし見に行かねば!! いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです!一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください(笑)食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ?(笑)まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです!ありがとうございました! (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月24日 1時