▼第三章 桃鬼さんの誘惑 ページ24
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犬、雉、猿との旅を初めて早三日。
「ぬあああ、もうほんと無理っ」
「A、女子がこんなところで座り込んだら駄目だよ」
そんなこと言われても、夜通し歩き通して足も腰も痛いし、お腹は空いたしお風呂にも入りたい。
「まあ、でも正直そろそろまともに飯食いたいなあ」
「俺、お金盗んで来ようか?」
「「それは駄目!(あかん!)」」
仲間が増えたことは有難い。しかもらうるは素直で可愛いし。
だけど人数が増えた事による代償は大きかった。
「あの町で稼ぐしかないかあ」
「よっしゃ!ほんなら俺に任せとき!」
やっと見えてきた大きめな町で芸を売ることにした康二さんは、なんてことか私にも手伝えと言ってきた。
何をさせられるのかと思えば、康二さんの吹く笛の音に合わせて踊れと。
「A様は、踊れるの?」
らうるの純粋な双眸に見つめられ、「ふふ」と強気に笑ってみせてやる。
「やって出来ない事はないのよ」
「つまり初めての経験なわけね」
亮平さんはいつも一言多いなあ。でもその通りだけどね。
けれど本当に出来てしまうのだから、私って凄いと自画自賛しておこう。
「寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!雉之助率いる旅一座の一芸たんとご覧あれ!!」
笛の音と踊り、らうるの澄んだ声の呼び込みに橋の上には人が集まり、亮平さんが銭を集めた。
「なんと美しい」
「優美の舞だ」
「売れっ子かサインが欲しいな!」
有難い事に初めての踊りにも関わらず私が芸に長けてる人間だと思われたらしく、素晴らしいものをみせてもらったと銭が舞い込んでくる。
おお!鬼退治なんて辞めてこれで稼いで帰るのも一つの手じゃないか?
なんて顔に出さず笑っていれば、ドンッ!橋が軋んだ。
「な、なんやなんや!?」
「うわー、お客さんが見事に散った」
音が止み、先までの賑やかさは何処へやら辺りはシーンと静まり返っている。
チラリと視線を流した先には、だらしなく腹の出た大男と狐のようにコンコン笑う細長い男の二人。
「ふふふふ、お前たち誰に許しを得てここで見世物をしておる?」
「誰に?」
と、三人を見ればブンブンと三人ともに首を左右に振った。
そうだよね?
許可なんて取った覚え全くないもーん。
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜!!続きも楽しみです! (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます!!お話書かれてるんですね!?よし見に行かねば!! いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです!一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください(笑)食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ?(笑)まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです!ありがとうございました! (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月24日 1時