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ちゃぽん、
「ふぅ〜」
月夜を眺めながら露天風呂なんて、なんて良い気分だ。
食事の後、倒れて寝ていた私以外はすでにお風呂を済ませていたということで、私は一人お風呂中。
『 着いて行こっか?』
とニタリ顔の佐久間さまの襟首を引っ張って行った亮平さんは、鬼にも臆することは無いらしい。
「ふふ、いつの間にか大所帯」
たった一人で始まったこの旅も、気づけば私を含めて五人(佐久間さまを入れたら)か。
いよいよ鬼退治に向かう……て、あれれ?
鬼である佐久間さまは、どうして私に鬼退治をしたらなんて提案したんだろう?
新たに生まれてしまった疑問。
寒空にひんやりとなった肩にお湯をちゃぷんとかける。
「……佐久間さまも、なんてことないよね?」
.
結構長湯してしまった。
長い廊下をぺたぺたと歩き辿り着いた部屋の前、なんの違和感もなく襖を開けたら、どーんと効果音よろしくな光景が広がっていた。
六畳の部屋の真ん中に敷かれた布団、その上で横になり肘を立てた掌に頭を乗せた佐久間さまが「遅かったねえ」と待ち構えていた。
着流しがはだけて、至る所があらわになって目のやり場に困ります。
「えっと、佐久間さまもここに?」
「もっちろん! 桃姫ちゃんと佐久間の仲でしょ?」
うーん、どんな仲でしょ?
とりあえず寒いから部屋の中に入ってしっかりと戸を閉めた。
「なんでそんな離れたところに座るでやんすか?」
入口直ぐの場所に正座をしていたら、ククと楽しげに笑われる。
楽しそうなのは何よりですが、私は困惑中なんです。
「だ、だって、」
「んー?」
きっと私の言いたいことは手に取るように分かってるはず。
佐久間さまは私より遥かに経験豊富そうだし、鬼だし。
「桃姫ちゃん、おいで?」
腰の上にだらりと乗っていた手を上げて、おいでと手招きされた。
すると一瞬スンと鼻を掠めた香り。
いい匂い……
ふらりと体は勝手に起き上がって佐久間さまの横たわる布団の上に座っていた。
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます!一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜!!続きも楽しみです! (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます!!お話書かれてるんですね!?よし見に行かねば!! いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです!一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください(笑)食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ?(笑)まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです!ありがとうございました! (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月24日 1時